家族に精神科の入院を勧めるとき|切り出す前に整えておくこと
「リライフ訪問看護ステーション」
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電話受付:平日・土曜・祝日 8:30〜17:30(日曜・年末年始休み)
ご家族の状態が長く続いて、「入院を考えたほうがいいのだろうか」と思い始めたとき、多くのご家族が最初の一歩で迷います。本人にどう切り出すのか。断られたらどうするのか。そもそも入院に種類があるのか。
この記事では、入院を勧める前にご家族の側で整えておくことを、順番に沿って整理します。
暴力などで身の安全が脅かされている場合は110番へ、けが・意識障害・薬を大量に飲んだなど医療の緊急性がある場合は119番へご連絡ください。判断に迷うときは、かかりつけ医や地域の精神科救急相談窓口にもご相談ください。暴力があるときの動き方は精神疾患の家族からの暴力|安全の確保と相談できる場所にまとめています。
入院や早急な診察を考える目安
ご家族が入院を考え始める場面はいくつかありますが、そのすべてが入院につながるわけではありません。目安を持っておくと、主治医や相談機関と話すときに整理が早くなります。
入院を考えたほうがよい場面
- 自分や他の人を傷つける危険が差し迫っている場合は、ためらわず110番・119番へ。差し迫っているか判断できない場合は、主治医や精神科救急相談窓口にご相談ください
- 食事や水分がほとんどとれない状態が続いている(とくに水分がとれない場合は、日数を待たず医療機関や119番にご相談ください)
- 幻覚や妄想が強く、生活が立ち行かなくなっている
- 家庭での介護が、ご家族の安全や健康を直接削っている
- 通院だけでは症状が落ち着かない期間が長く続いている
- 本人自身が「入院したい」と希望している
緊急性が判断できないとき
食事や睡眠がとれていても、症状や言動によっては早急な診察が必要な場合があります。緊急性や入院の要否をご家族だけで判断せず、主治医や地域の精神科救急相談窓口にご相談ください。
ご家族の疲れが限界に近いときも、抱え込まずに相談してください。地域や本人の状態によっては、障害福祉サービスの短期入所などを利用できる場合があります。対象の要件、支給決定、受け入れ先の有無は、市町村や相談支援事業所にご確認ください。いわゆる「レスパイト入院」はすべての精神科病院で利用できる制度ではないため、医療上の必要性を含めて主治医や病院に確認が必要です。
精神科の入院には種類があります
入院にはいくつかの形があり、本人の同意が必要かどうか、誰が決めるのかが違います。どの形で入院するかを、ご家族や訪問看護事業者が決めることはできません。法律で決め方が定められています。
- 任意入院——本人が同意して入院する形です。退院も本人の希望でできます(症状によって、医師の判断で一時的に制限される場面もあります)
- 医療保護入院——精神保健指定医が、精神障害のため医療および保護を目的とする入院が必要で、任意入院を行う状態にないと判定した場合に、家族等のうちいずれかの方の同意を得て、精神科病院の管理者が行う入院です。家族等がいない、意思表示ができない、または家族等全員が同意・不同意の意思表示をしない旨を明示した場合などには、市町村長の同意によることがあります。家族等が「不同意」と意思表示した場合とは扱いが異なります
- 措置入院——自分や他の人を傷つけるおそれについて、法律で定められた診察と行政の手続きにより判断されるものです。ご家族が入院の形を選んだり、主導したりするものではありません
ご家族が日常で関わるのは、任意入院か医療保護入院です。
2024年4月以降、医療保護入院には法律で定められた入院期間があります。期間を更新する場合は、精神保健指定医の診察、退院支援委員会での審議、家族等または市町村長の同意など、法律上の手続きが必要です。また病院には、退院後生活環境相談員を選任する義務があります。本人・ご家族から求めがあった場合などには、地域援助事業者を紹介するよう努めることとされています。個別の手続きは入院先の病院にご確認ください。
本人に切り出す前に、整えておく3つのこと
1. 主治医に、ご家族から先に相談しておく
本人が通院している場合は、ご家族から主治医へ「入院を考えている」「家庭で支えるのが難しくなってきた」と先に伝えておきます。
ただし、ご家族から伝えることはできても、本人の同意や診療上の事情により、主治医からご家族へ病状や治療内容を詳しくお話しできない場合があります。
2. 入院先について、主治医や病院の相談室に相談する
通院している病院に入院の病棟がない場合は、別の病院への紹介になります。本人の希望を確認しながら、主治医や病院の相談室に、受け入れが可能な医療機関や病棟の特徴を相談してください。実際の入院先は、医療上の必要性、本人の意向、受け入れの状況などを踏まえて調整されます。
3. 費用の見通しを立てておく
入院にかかる費用は、病院、病室の種類、入院の期間、本人の加入している健康保険によって変わります。金額を一律にお伝えすることはできませんので、入院先の相談室で確認してください。
負担を抑える仕組みとして、公的医療保険の高額療養費制度があります。保険診療分のひと月の自己負担に、所得等に応じた上限が設けられる制度です。
オンライン資格確認に対応する医療機関でマイナ保険証を利用し、限度額情報の提供に同意する場合は、原則として限度額適用認定証の事前申請・提示は不要です。それ以外の場合は、加入している健康保険(協会けんぽ、健康保険組合、市区町村の国民健康保険など)に認定証の手続きをご確認ください。
なお、入院中の食費や差額ベッド代などは、原則として高額療養費の対象外です。
本人に切り出すときに気をつけること
- 「入院しなさい」と命令の形にしない。「入院という選択肢がある」と一緒に考える形にする
- 長所を並べ立てない。「ゆっくり休める場所が要ると思う」くらいの短い言葉で
- 緊急性がない場合は、その日のうちに答えを出すよう迫らない。切迫した危険や医療上の緊急性があるときは、本人の返答を待たず110番・119番や医療機関に相談してください
- 「私が限界だから入院して」と感情で押さない。本人に罪悪感や圧迫感を与える可能性があります
- 主治医から説明された内容を正確に伝え、本人が疑問や希望を主治医へ直接話せる機会をつくる
本人が断ったとき
本人が入院を望まない場合は、その理由と意思を確認し、本人が参加する形で在宅の支援や受診の方法を見直します。切迫した危険があるときは、緊急の相談先へご連絡ください。
- 本人の意向を確認したうえで、主治医や訪問看護事業所に、訪問の頻度を含む在宅支援の見直しができるか相談する
- 障害福祉サービスの短期入所などが利用できるか、市町村や相談支援事業所に確認する
- 本人が入院を望まない場合でも、診察の結果、精神保健指定医が法律上の要件に該当すると判断したときは、医療機関において医療保護入院などの法定手続きが検討される場合があります。ご家族や訪問看護事業者が入院の形を決めることはできません
- 家族会や精神保健福祉センターに相談し、ご家族が一人で抱えない場をつくる
避けたい対応
- 本人をだまして病院へ連れて行く。信頼が崩れ、その後の通院が止まることがあります
- 「入院するか、家を出るか」と迫る
- 本人の前で「もう限界、入院させる」と家族同士で話す
- 本人を意思決定から外して、ご家族だけで入院先や方針を決める
- 同意書の内容を理解しないままサインする。分からない点は必ず医師に確認してください
相談できる場所
- 本人の主治医、精神科病院の相談室(地域連携室・医療相談室)
- お住まいの地域の保健所(精神保健福祉相談)
- 精神保健福祉センター(ご家族だけでも相談できます)
- 相談支援事業所(障害福祉サービスの利用を一緒に考える窓口)
- 家族会
- 加入している健康保険の窓口(高額療養費制度・限度額適用認定証)
- 夜間・休日:地域の精神科救急情報センター/緊急時は110番・119番
リライフへのお問い合わせについて
リライフ訪問看護ステーションは大阪府柏原市にあり、柏原市・八尾市・藤井寺市・羽曳野市・松原市・東大阪市・富田林市・太子町、大阪市の一部(平野区・生野区・東住吉区・阿倍野区)とその近隣に訪問しています。
この地域以外にお住まいの方は、お住まいの市町村の保健所や精神保健福祉センター、お近くの訪問看護ステーションにご相談ください。
当ステーションへのお問い合わせは、精神科訪問看護の利用に関するご相談を対象としています。入院の判断、入院先の決定、緊急通報、法律相談は行っておりません。訪問看護を開始するには、ご本人の意向確認と主治医の訪問看護指示書が必要です。
入院を考える段階でも、通院と訪問看護を組み合わせて自宅での生活を支える方法があります。ご相談の流れはご家族が精神科訪問看護を相談するとき—初回問い合わせから利用開始までの流れにまとめています。
この記事のまとめ
- 入院や早急な診察を検討する場面には、自分や他の人を傷つけるおそれ、水分・食事がとれない、生活が立ち行かないほどの症状、本人の希望などがある
- 緊急性や入院の要否をご家族だけで判断しない。主治医や精神科救急相談窓口に相談する
- 入院の形は任意入院・医療保護入院・措置入院。ご家族が決めるものではなく、法律で決め方が定まっている
- 切り出す前に、主治医への相談・入院先の候補・費用の見通しを整えておく
- 本人が望まないときは、その理由と意思を確認し、本人が参加する形で支援を見直す
この記事は、診断・治療・入院の判断を提供するものではありません。入院については主治医や精神保健指定医にご相談ください。制度や窓口の情報は変わることがあります。最新の情報は厚生労働省や各自治体、加入している健康保険の公式情報でご確認ください。
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