睡眠薬を飲んでも眠れない時は?【厚生労働省×日本睡眠学会】公式情報でわかる原因チェックと対処法10選

心の不調を感じたら、ひとりで抱え込まないでください。
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“精神科に特化”した訪問看護ステーション
「リライフ訪問看護ステーション」
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「睡眠薬を飲んでも眠れない」理由を、厚生労働省・日本睡眠学会の公式情報でセルフチェックし、最短の対処へ導きます。本稿では対処法10選や受診の目安、オンライン認知行動療法の活用まで一気にわかります。結論:原因特定→体内時計の是正と睡眠圧の回復、服薬の最適化と相互作用確認、認知行動療法、いびき等の疾患評価が近道になります。必要に応じて専門医やリライフ訪問看護ステーションへご相談ください。
目次
まず確認 睡眠薬を飲んでも眠れない時は原因を特定する
「睡眠薬を飲んでいるのに眠れない」。そんなときは、薬を増やす・替える前に、眠りを妨げている要因をていねいに洗い出すことが先決です。効かない理由はひとつとは限らず、生活習慣・体内時計・併存疾患・薬の飲み方や相互作用などが重なっていることが珍しくありません。本章では、厚生労働省や日本睡眠学会が示す考え方に沿って、原因の見取り図をつくる方法をやさしく整理します。
なお、公式情報は厚生労働省の健康情報サイトや専門学会の解説が役立ちます(例:厚生労働省 e-ヘルスネット、厚生労働省、日本睡眠学会)。
公式情報に基づくチェックリストの使い方
まずは直近1〜2週間の「行動・環境・体調・服薬」の4領域を振り返ります。ポイントは、事実ベースの記録(時刻・量・回数)で把握すること。曖昧な記憶よりも、睡眠日誌やスマホのメモで具体的に残すと原因が浮かび上がります。
次の表を使って、当てはまる項目にチェックを入れ、右端の「推奨アクション」に沿って進みます。複数該当する場合は、影響の大きいもの(毎日/就寝直前/量が多い)から優先的に整えるのがコツです。
| カテゴリ | チェック項目 | 具体例 | 推奨アクション |
|---|---|---|---|
| 服薬 | 服用時刻・用量は指示どおりか | 就寝直前ではなく夕食後に内服/自己判断で増減 | 処方内容と照合し、主治医・薬剤師に正しいタイミングを確認 |
| 服薬 | 併用薬・サプリ・アルコール | 抗うつ薬・抗不安薬・抗ヒスタミン薬・鎮痛薬・メラトニン系サプリ・飲酒 | 相互作用や鎮静の増強・質低下の可能性を医師・薬剤師に相談 |
| 生活 | カフェイン・ニコチン | 15時以降のコーヒー/エナジードリンク/就寝直前の喫煙 | 午後以降は控える、総摂取量を記録して調整 |
| 生活 | 就寝前2時間の光とスクリーン | ベッドでのスマホ・動画視聴・明るい照明 | 夜は照明を落とし、スクリーンは就寝1〜2時間前にオフ |
| 生活 | 運動と入浴のタイミング | 就寝直前の激しい運動/熱い入浴直後に就寝 | 運動は日中〜夕方、入浴は就寝90分前を目安に調整 |
| 生活 | 昼寝・うたた寝 | 夕方の長い昼寝/テレビ前の寝落ち | 昼寝は15〜30分・午後早めまでに制限 |
| 体調 | いびき・呼吸停止・口の渇き | 家族に呼吸が止まっていると言われる/起床時の頭痛 | 睡眠時無呼吸の評価を受診で検討(専門医紹介を相談) |
| 体調 | 脚のむずむず・ぴくつき | 寝入りばなに脚を動かしたくなる/じっとしていられない | むずむず脚症候群の可能性を受診で相談(鉄欠乏の確認など) |
| 体調 | 夜間頻尿・胃の逆流・痛み | 何度もトイレに起きる/胸やけで目が覚める | 基礎疾患の治療調整を主治医に相談 |
| こころ | ストレス・不安・気分の落ち込み | 仕事・介護・人間関係の変化/早朝に不安で覚醒 | 心理的負担の見える化と相談先の確保(医療・カウンセリング) |
| リズム | 起床・就寝時刻のばらつき | 平日と休日で2時間以上ずれる/夜型化 | まずは起床時刻を固定、朝の屋外光で体内時計を同調 |
| 薬理 | 長期連用による慣れ(耐性)や中止後の悪化 | 効きが弱くなった気がする/中止すると一時的に悪化 | 独断で増量・減量せず、医師と計画的に見直し |
次のいずれかに当てはまる場合は、早めに医療機関へ相談してください。強い眠気で運転に支障がある、呼吸が止まっていると指摘された、自殺を考えるほど気分が落ち込む、体重増加や高血圧が目立つ、いびきと日中の強い眠気が続く——これらは専門的評価が必要なサインです。受診の相談窓口に迷うときは、地域のかかりつけ医のほか、カウンセラーに話すのも一歩です。私たちが運営するリライフ訪問看護ステーションでも、医療につながる前の不安の整理をお手伝いします。
症状の型と生活背景の整理
不眠のあらわれ方(入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠感の低下)と生活背景をペアで見渡すと、原因仮説が立てやすくなります。下の表は、臨床でよく観察される関連の例です。あてはまるものがあれば、まずは生活面の修正と評価(睡眠日誌)から始め、必要に応じて医療と連携しましょう。
| 主な困りごと | 関連しやすい背景 | 見逃したくない疾患・状態 | 最初の一歩 |
|---|---|---|---|
| 布団に入っても寝付けない(入眠障害) | 就寝前の強い光・スマホ、遅い時間のカフェイン、起床時刻の不規則、遅寝遅起きの生活 | 概日リズムの遅れ、不安症状、環境要因(騒音・室温) | 起床固定+朝の屋外光、カフェイン制限、スクリーンオフ、睡眠日誌で変化を記録 |
| 夜中に何度も目が覚める(中途覚醒) | 寝酒・夕食後の飲酒、就寝直前の大量水分、寝室環境、長い昼寝 | 睡眠時無呼吸、むずむず脚・周期性四肢運動、逆流性食道炎、夜間頻尿 | 寝酒をやめる、夕方以降の水分調整、いびき・呼吸停止の有無を家族に確認し受診を検討 |
| 予定より早く目が覚める(早朝覚醒) | 早朝の強い不安・思考の反すう、夕方以降の活動不足、日中の光不足 | うつ病の兆候、加齢に伴うリズム前進 | 朝散歩で光を浴びる、日中活動量アップ、気分の落ち込みが強い場合は早めに受診 |
| たっぷり寝ても眠った感じがしない(熟眠感低下) | いびき、質を下げる飲酒・喫煙、寝室環境の問題 | 睡眠時無呼吸、慢性疼痛、逆流、甲状腺などの内科的要因の可能性 | 録音アプリ等でいびきを確認、アルコールとニコチンの見直し、必要なら睡眠検査を相談 |
ここで挙げた背景は「必ず」原因という意味ではありませんが、仮説を立てて順に検証することで、有効な対処にたどり着きやすくなります。睡眠薬の効果を最大限に引き出すためにも、体内時計と睡眠を妨げる要因の整理が土台になります。うまく進められないときは、主治医や薬剤師に加え、リライフ訪問看護ステーションなど身近な相談先に、生活の整え方や受診のタイミングを一緒に考えてもらってください。
三分でわかる原因セルフチェック

「睡眠薬を飲んでも眠れない」と感じたときは、まず原因を素早く洗い出すことが近道です。以下のセルフチェックは、就床前の行動・嗜好品・ストレス・体のサイン・服薬状況の5領域を、約3分で俯瞰できるように設計しています。当てはまる項目が二つ以上あれば、睡眠衛生の見直しとあわせて主治医や薬剤師に相談し、処方や生活習慣の最適化を進めましょう。
就寝前二時間の行動 カフェイン スマホ 運動 入浴
就寝前2時間の選択は、入眠困難や中途覚醒に直結します。時間帯・刺激の強さ・量を中心に振り返りましょう。
| チェック項目 | 判定の目安 | 今すぐできる対策 |
|---|---|---|
| カフェイン(コーヒー・緑茶・紅茶・エナジードリンク・一部の鎮痛薬) | 就寝6時間以内に摂取がある/総量が多い(例:エナジードリンク、濃いコーヒーの複数杯) | 午後は控えめにし、夜はノンカフェインへ切替。成分表示で「カフェイン配合」を確認。 |
| スマホ・PC・テレビ(ブルーライト+情報の刺激) | 就寝1〜2時間前まで使用が続く/布団内での視聴・SNSスクロール | 夜は通知オフ・読書灯へ。どうしても使うなら画面は暗くし、使用時間に上限を設ける。 |
| 運動(特に高強度) | 就寝近くに息が上がる運動や筋トレを実施 | 運動は日中〜夕方に。夜はストレッチや呼吸法など鎮静的な活動へ。 |
| 入浴(深部体温のコントロール) | 熱めの入浴を就寝直前に行う/シャワーのみで冷えたまま | 就寝1〜2時間前にぬるめの入浴。シャワーなら就寝直前は避ける。 |
| 照明・音・温度 | 明るい照明/騒音/室温・湿度が快適域から外れている | 間接照明へ切替、耳栓やホワイトノイズを活用。室温はおおむねやや涼しめを目安に整える。 |
| 食事・夜食 | 就寝直前の大食・脂っこい食事・辛いもの | 夕食は就寝2〜3時間前に。どうしても空腹なら消化にやさしい軽食に。 |
「就寝前2時間」は入眠の助走区間です。光・情報・刺激の“ブレーキ”をかけて、脳と体を眠りモードへ誘導しましょう。
アルコール喫煙の有無と量
寝酒や喫煙は一見「落ち着く」ために使われがちですが、睡眠の構造と質を損ねやすい代表格です。
| チェック項目 | 判定の目安 | 今すぐできる対策 |
|---|---|---|
| 寝酒(就寝前のアルコール) | 夜に継続的な飲酒/入眠は速いが中途覚醒・早朝覚醒が起こる | 夜の飲酒を中止・減量し、数日〜2週間の変化を観察。ノンアル飲料へ置換。 |
| 飲酒量と終酒時刻 | 多量・遅い時間帯までの飲酒 | 量を減らし、終酒は早めに。飲酒日を減らす「連続休肝日」も試す。 |
| 喫煙・加熱式タバコ・ニコチン製品 | 就寝前や夜間の喫煙/夜間の目覚め後に喫煙したくなる | 夜の喫煙をやめる。禁煙外来やニコチン代替の支援を検討。 |
アルコールとニコチンは「眠気を作るが眠りを壊す」二面性があります。断酒・減煙のミニ実験でご自身の睡眠の反応を確かめてみましょう。
ストレス気分の落ち込み 不安 生活出来事
心理的ストレスや気分の変調は、入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒を引き起こしやすく、睡眠薬の効き目も不安定にします。
| チェック項目 | 判定の目安 | 今すぐできる対策 |
|---|---|---|
| 生活上の出来事(仕事・家庭・介護・進学など) | 出来事後に不眠が悪化/考えが止まらない | 寝る前に「心配事リスト」を紙に書き出し、対応は翌日に回す。 |
| 不安・焦り・イライラ | 布団に入ると思考が活性化/心拍上昇 | 呼吸法・漸進的筋弛緩を3〜5分。就床前のニュース・SNSを避ける。 |
| 気分の落ち込み | 興味や意欲の低下/朝方に気分が沈む | 朝の散歩と朝日光、予定の固定化。医療者へ早めに相談。 |
| 日中の眠気・集中力低下 | 居眠り・ミスの増加/安全運転に不安 | 昼寝は短く(20〜30分)・午後遅くは避ける。受診の準備として睡眠日誌をつける。 |
心理的要因が関与する不眠は「悪循環」になりやすいため、セルフケアと専門的支援を早めに併用するのが近道です。必要に応じて主治医・心理職・カウンセラー、精神科に特化したリライフ訪問看護ステーションにもご相談ください。
いびき呼吸停止 足のむずむず 夜間頻尿 胃の逆流
体のサインは薬の効きづらさのヒントです。睡眠時無呼吸症候群(SAS)、むずむず脚症候群(RLS)、夜間頻尿、逆流性食道炎(GERD)などは、入眠後の覚醒を増やし、睡眠の質を低下させます。
| チェック項目 | 判定の目安 | 今すぐできる対策 |
|---|---|---|
| 大きないびき・呼吸停止の指摘 | 日中の強い眠気/起床時の頭痛・口渇/家族から無呼吸の指摘 | 横向き寝・減量を検討。早めに医療機関で評価を受ける。 |
| 足のむずむず・ぴくつき(RLS) | 夕方〜夜に足がむずむずして動かさずにいられない/動くと一時的に楽 | カフェイン・アルコールを控える。症状が続けば受診し評価を。 |
| 夜間頻尿 | 夜間に2回以上の排尿で起きる/就寝前の多飲 | 夕方以降の水分・塩分・カフェインを見直す。必要に応じて泌尿器科へ。 |
| 胃の逆流・胸やけ(GERD) | 横になると胸やけ・酸っぱい逆流感/咳や声枯れ | 就寝直前の飲食を避け、上半身を少し高くして寝る。症状が続けば消化器内科へ。 |
夜間に身体症状で目が覚めるタイプの不眠は、原疾患の治療が睡眠改善の近道です。気づきのメモを持って受診しましょう。
服用中の薬とサプリ 市販薬の使用状況
処方薬・市販薬・サプリメントの中には、覚醒作用や不眠を悪化させるものがあります。おくすり手帳と製品ラベルで実態を把握しましょう。
| チェック項目 | 判定の目安 | 今すぐできる対策 |
|---|---|---|
| 総合感冒薬・鼻炎薬 | 交感神経刺激成分やカフェイン配合で就寝前に服用 | 夜は刺激成分の少ない選択肢へ。薬剤師に睡眠への影響を相談。 |
| 鎮痛薬・エナジー系サプリ | カフェイン含有の鎮痛薬/プレワークアウトの刺激成分 | 成分表示を確認し、夜はノンカフェインを選ぶ。 |
| ステロイド・一部の吸入薬など | 服用・吸入後に覚醒感や動悸を自覚 | 服用時刻の調整や代替の可否を主治医に相談。 |
| 海外サプリ(例:睡眠系・ダイエット系) | 成分・含有量が不明確/刺激成分の混在 | 自己判断での併用を避け、使用時は医師・薬剤師に必ず共有。 |
「市販だから安全」とは限りません。飲んでいるものをすべて一枚にまとめ、医療者と見直すだけで眠りが大きく変わることがあります。
服用時刻 用量 飲み合わせの実態
睡眠薬は「タイミング」「量」「併用」のズレで効果が弱く感じられることがあります。まずは現状の服用実態を正確に把握しましょう。
| チェック項目 | 判定の目安 | 今すぐできる対策 |
|---|---|---|
| 服用時刻と就床時刻のズレ | 服用後に長時間起きている/布団に入る前に飲まない | 指示に沿って「就床直前」などのタイミングをそろえる。 |
| 用量の自己調整 | 効かないと感じて自己増量/翌日の眠気が強い | 自己調整は避け、効果と副作用を記録して主治医へ報告。 |
| アルコールとの併用 | 寝酒+睡眠薬でふらつき・転倒・記憶障害 | 併用は避ける。飲酒日は服薬スキップなど自己判断をしない。 |
| 複数薬・食品との飲み合わせ | 処方の重複や相互作用の可能性/サプリの併用 | おくすり手帳を更新し、すべての医療機関・薬局で共有する。 |
「効かない」のではなく「効きにくい飲み方」になっている場合があります。実態を可視化し、主治医・薬剤師と最適化するだけで改善するケースは少なくありません。
セルフチェックで気づいたポイントを3つ以内に絞り、今夜から実行する対策と医療者へ相談する項目を決めましょう。迷ったら、主治医・薬剤師・カウンセラー、精神科に特化したリライフ訪問看護ステーションが伴走します。
体内時計と睡眠圧を整えるコア戦略

睡眠薬を飲んでも眠れないときは、体の「時間合わせ」が崩れていることがよくあります。ここでは、概日リズム(体内時計)と睡眠圧(起きている時間に比例して高まる眠気)をそろえ、寝つき・中途覚醒・早朝覚醒を全方位で整える中核戦略をまとめます。毎日の起床時刻・光・活動・昼寝の扱い方という4本柱を一定に保つことで、睡眠薬の効き目も安定しやすくなります。基本はシンプルですが、続けるほど効果が積み上がる方法です。
詳しい背景は、睡眠衛生と行動療法を推奨するe-ヘルスネット(厚生労働省)や、臨床・研究の両面から情報を提供する日本睡眠学会の公開情報も参考になります。
| 時間帯 | コア行動 | ポイント | 避けたい例 |
|---|---|---|---|
| 起床〜午前 | 毎日同じ時刻に起きて屋外光を浴びる | 起床後1時間以内に自然光へ。朝食と軽い活動で体温とリズムを前進 | 週末の寝だめ、カーテンを閉めたままの二度寝 |
| 日中 | 適度な運動と活動量の確保 | 日中の歩数・筋活動で夜の睡眠圧が自然に高まる | 長時間の座りっぱなし、夕方以降の高強度運動 |
| 昼寝 | 短く早い時間にパワーナップ | 15〜20分を目安に、午後早めまでに完了 | 30分以上の長い昼寝、夕方以降の仮眠 |
| 夕〜夜 | 明かりを落とし穏やかに過ごす | ブルーライトと眩しい光を控え、就床時刻は「眠くなってから」 | 明るい照明下でのPC・スマホ作業の継続 |
起床時刻固定と朝日光の活用
体内時計は「朝の強い光」と「毎日の起床時刻」で最もリセットされます。まずは休日も含めて起床時刻を固定し、起きたら1時間以内に屋外の自然光を15〜30分浴びることを優先しましょう。曇りや雨の日でも、屋外や窓際の明るさは室内照明より十分に強く、体内時計の同調に役立ちます。サングラスは必要時のみとし、日陰でも外気に触れることが効果的です。
朝はカーテンを一気に開け、顔と目のまわりに光が入るようにします。朝食で内臓時計にも朝を伝え、簡単な散歩や家事で体温リズムを立ち上げると、夜の自然な眠気が戻りやすくなります。「週末の寝だめ」や平日の寝不足を休日にまとめて補う習慣は、社会的時差(ソーシャル・ジェットラグ)を生み、月曜以降の寝つき悪化の原因になります。可能な範囲で起床時刻のズレを±1時間以内に収めましょう。
夜は反対に、照明を暖色でやや暗めにし、就床2時間前からはスマホ・PC・テレビを減らします。どうしても使う場合は、画面の夜間モードやブルーライト低減設定を活用し、手元灯は必要最小限に。これにより、メラトニン分泌のタイミングが乱れにくくなります(基礎情報は日本睡眠学会を参照)。
日中活動と運動 夕方以降の強い運動は避ける
睡眠圧は、日中にどれだけ「体と脳を働かせたか」で自然に高まります。おすすめは、午前〜夕方のどこかで20〜40分程度のウォーキングや軽い筋トレなど、心地よい有酸素運動を継続すること。姿勢変化や外出で光を取り入れ、活動量を増やすと、入眠潜時の短縮や夜間のまとまりにもつながります。
一方で、就寝3時間以内の高強度運動(息が上がる全力走、激しい筋トレ、遅い時間の試合形式のスポーツなど)は避けるのがコツです。体温・交感神経の高ぶりが残ると寝つきにくくなるため、強度を上げたい日は「開始時刻を前倒し」してみてください。夕方はクールダウンを長めに取り、入浴は就床の1.5〜2時間前に済ませると、深部体温の下降をうながせます(行動の基礎はe-ヘルスネット(厚生労働省)の睡眠衛生情報が参考になります)。
座りっぱなしの仕事や学習が続く日は、1時間に1〜2分で良いので立ち上がり、肩回しや階段の上り下りで区切りを作りましょう。小さな累積でも、夜の睡眠圧を確実に高めてくれます。
昼寝は短く早い時間にする
昼寝は使い方次第で強い味方になりますが、やり方を誤ると夜の睡眠圧を削いでしまいます。基本は「短く・早く・浅く」:15〜20分、午後の早い時間に座位またはリクライニングで。アラームを必ず設定し、暗すぎない環境で「意図的に浅く」寝るのがコツです。
次のような場合は夜の睡眠に響きやすいので避けましょう。例えば、30分を超える長い昼寝、夕方以降の仮眠、ベッドで横になって本格的に眠る昼寝。どうしても眠気が強い日は、タイマー10〜15分の「目を閉じて休む」だけでも回復効果があります。昼寝をやめても日中の強い眠気が続く、居眠り運転の危険がある、といった場合は、専門の医療機関で評価をご検討ください。
ここまでの工夫を2〜3週間続けても改善が乏しいときは、生活リズムの個別調整や認知行動療法の併用が役立つことがあります。お一人で進めるのが難しいと感じたら、医療機関やカウンセラー、私たちが運営するリライフ訪問看護ステーションにもお気軽にご相談ください。
薬の見直しと相互作用の確認

睡眠薬を飲んでも眠れないときは、薬が効いていないのではなく、選び方・飲み方・飲み合わせに原因が潜んでいることが少なくありません。ここでは、国内で広く用いられている薬の特徴を踏まえ、作用時間と症状に合った使い分け、相互作用(飲み合わせ)やリスクの見直しポイントを整理します。処方変更や中止は必ず主治医・薬剤師と相談し、必要に応じてカウンセラー(リライフ訪問看護ステーションでもご相談を承ります)も交えて、安心できる計画を立てましょう。
「効かないから量を増やす」前に、半減期・併用薬・アルコール・カフェイン・就床時刻などを総点検することが、安全かつ効果的な第一歩です。
ベンゾジアゼピン系 非ベンゾ系 Z薬の使い分け
睡眠薬は大きく、ベンゾジアゼピン系(BZD)、非ベンゾジアゼピン系(いわゆるZ薬)、そして非GABA系(メラトニン受容体作動薬・オレキシン受容体拮抗薬)に分かれます。症状(入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒)、併存症(睡眠時無呼吸、COPD、高齢者の転倒リスクなど)、ライフスタイル(運転、シフト勤務)、薬物相互作用を踏まえた選択が重要です。
| 薬理学的分類 | 代表例 | おおよその作用時間 | 適しやすい症状 | 主な注意点/相互作用 |
|---|---|---|---|---|
| ベンゾジアゼピン系 | フルニトラゼパム、トリアゾラム、ブロチゾラム、リルマザホン | 超短〜中間(製剤により幅あり) | 入眠困難、中途覚醒(製剤選択による) | 筋弛緩・記憶障害・転倒、せん妄、呼吸抑制。CYP3A4阻害薬・アルコール・オピオイド等で過鎮静 |
| 非ベンゾ系(Z薬) | ゾルピデム、エスゾピクロン、ゾピクロン | 超短〜短 | 入眠困難、軽度の中途覚醒 | 睡眠関連異常行動(寝ぼけ行動など)・翌日眠気。CYP3A4の影響、アルコールでリスク増 |
| メラトニン受容体作動薬 | ラメルテオン | 入眠調整中心(持ち越しに配慮) | 入眠困難、体内時計の調整 | CYP1A2強阻害薬(例:フルボキサミン)との相互作用、喫煙で効果低下の可能性 |
| オレキシン受容体拮抗薬 | スボレキサント、レンボレキサント | 比較的長い(睡眠維持にも有用) | 入眠困難+中途覚醒 | CYP3A阻害薬・グレープフルーツで血中濃度上昇、翌日眠気・ふらつき |
Z薬・BZDは短期的な症状緩和に向きますが、長期連用で耐性・依存が生じやすく、非GABA系(ラメルテオン・オレキシン拮抗薬)は依存性が低く慢性不眠に適した選択肢になり得ます。
最新の添付文書や注意喚起は医薬品医療機器総合機構(PMDA)の情報をご確認ください(PMDA)。不眠症の基本治療や生活改善は厚生労働省の解説も参考になります(e-ヘルスネット)。
ゾルピデム エスゾピクロン ゾピクロンの特徴
ゾルピデムは超短時間型で入眠困難に適し、就床直前に内服しても入眠を促しやすい一方、アルコール併用で睡眠関連異常行動(寝ぼけ運転、徘徊、調理など)のリスクが上がります。「飲んだのに目が冴える/記憶が飛ぶ」場合は過量・併用・服用タイミングの見直しが急務です。
エスゾピクロンは入眠と睡眠維持のバランスがよく、翌日の持ち越しを抑えつつも中途覚醒を減らしたい人に向きます。金属味などの味覚異常が出る場合は就床タイミングや服用量の調整で軽減することがあります。
ゾピクロンは作用がやや長く、中途覚醒を伴う場合にも選択されますが、苦味・口内違和感などの副作用が比較的知られています。いずれのZ薬もCYP3A4阻害薬やグレープフルーツで血中濃度が上がり、翌日ふらつきが増える可能性に注意します。
フルニトラゼパム トリアゾラム ブロチゾラム リルマザホン
トリアゾラムは超短時間型で入眠困難向けですが、健忘・反跳性不眠(中止直後の一時的な悪化)に注意が必要です。ブロチゾラムは短時間型で高齢者では転倒やせん妄のリスクを丁寧に評価します。
フルニトラゼパムは中間型で睡眠維持にも有用ですが、筋弛緩・持ち越し・記憶障害のリスクから、運転や機械操作、夜間トイレ時のふらつきに十分な対策が必要です。リルマザホンはプロドラッグで比較的マイルドな入眠作用を示しやすいものの、他の中枢神経抑制薬との併用で過鎮静となることがあります。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(SAS)や慢性呼吸器疾患を併存する場合、BZD系は呼吸抑制の観点から慎重投与または回避を検討します。
ラメルテオンとオレキシン受容体拮抗薬の位置づけ
ラメルテオンはメラトニン受容体(MT1/MT2)に作用し、体内時計のシグナルを補強して入眠を整えます。依存・反跳が生じにくく、慢性不眠で「毎日少しずつ整える」方向性と相性が良い薬です。併用薬や喫煙の影響(CYP1A2)には留意します。
オレキシン受容体拮抗薬(スボレキサント、レンボレキサント)は覚醒維持系を抑えて自然な眠気を引き出すため、入眠困難と中途覚醒の双方にアプローチできます。依存性が低く長期使用の実臨床データも蓄積しつつありますが、翌日眠気・平衡障害、まれに睡眠麻痺や入眠時幻覚が報告されており、安全性モニタリングを続けることが大切です。
スボレキサント レンボレキサント
スボレキサントは比較的作用時間が長く、維持障害を伴う不眠に適します。CYP3A阻害薬(アゾール系抗真菌薬、マクロライド系抗菌薬、抗HIV薬など)やグレープフルーツで血中濃度が上がり、過鎮静のリスクが増します。食事、とくに高脂肪食の直後は作用発現が遅れるため、就床直前の服用リズムを安定化させるとよいでしょう。
レンボレキサントも入眠・維持の双方に用いられ、夜間の覚醒を減らす目的で選択されます。CYP3Aの影響は同様で、強い阻害薬との併用は避け、適正用量への調整が必要です。翌朝の眠気や注意力低下が残る場合は、就床時刻・服用時刻・併用薬・飲酒の見直しを優先し、むやみに増量しないことが安全です。
耐性 反跳性不眠 依存の予防と漸減の原則
GABA作動薬(BZD/Z薬)の長期連用は、効き目が弱まる「耐性」、中止直後に一時的な悪化をみる「反跳性不眠」、量を減らすと不安・焦燥・不眠が強まる「依存(身体依存)」のリスクを増やします。予防の基本は、最小有効量・最短期間・単剤使用です。
減量時は、睡眠日誌で入眠潜時・中途覚醒・昼間の眠気を確認しながら、1〜2週間ごとに10〜25%程度のステップで徐々に減らすのが一般的です。短時間型で離脱が出やすい場合は、医師の管理下で作用時間の長い薬へ一時的に切り替えてから漸減する方法もあります(独断での切替は禁物)。
漸減と並行して、刺激制御法・睡眠制限法・リラクゼーションなどの認知行動療法(CBT-I)を組み合わせることで、再増悪を防ぎやすくなります。不安が強いときは、主治医・薬剤師・カウンセラー(リライフ訪問看護ステーション)に早めに相談し、支えを得ながら進めましょう。
薬物相互作用と食品 CYP3A4阻害薬 グレープフルーツ
思わぬ「飲み合わせ」が効きすぎ・効かなすぎ・副作用増加の原因になります。以下は臨床で遭遇しやすい相互作用の整理です。該当の薬・食品を日常的に摂っていないか、薬局で購入した市販薬やサプリも含めて、薬剤師と一緒に棚卸ししましょう。
| 相互作用の種類 | 典型的な原因薬/食品 | 影響を受けやすい睡眠薬 | 臨床上の影響/対処 |
|---|---|---|---|
| CYP3A4阻害(血中濃度↑) | アゾール系抗真菌薬(イトラコナゾール等)、マクロライド系(クラリスロマイシン等)、プロテアーゼ阻害薬、ジルチアゼム/ベラパミル、グレープフルーツ | トリアゾラム、ブロチゾラム、フルニトラゼパム、ゾルピデム/ゾピクロン/エスゾピクロン、スボレキサント、レンボレキサント | 過鎮静・転倒・呼吸抑制のリスク↑。併用回避や用量調整、グレープフルーツは原則避ける |
| CYP3A4誘導(血中濃度↓) | リファンピシン、カルバマゼピン、フェニトイン、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート) | Z薬、BZD、オレキシン拮抗薬 | 効果減弱・途中で目が覚める。併用薬の見直しや代替療法を検討 |
| CYP1A2関連 | フルボキサミン(強阻害)、喫煙(誘導) | ラメルテオン | フルボキサミン併用で過鎮静の恐れ、喫煙で効果低下。併用回避・禁煙支援を検討 |
| 薬理学的相加(中枢抑制) | アルコール、オピオイド(トラマドール等)、抗不安薬、抗ヒスタミン薬(第一世代)、抗てんかん薬、プレガバリン/ガバペンチン | 全ての睡眠薬 | 翌日眠気・ふらつき・判断力低下・呼吸抑制。重ね飲みを避け、就寝前の飲酒は中止 |
| 食事の影響(吸収遅延) | 高脂肪食直後の服用 | スボレキサント、レンボレキサント、Z薬の一部 | 寝付きが遅れる。就床直前の安定したタイミングで内服 |
運転・高所作業・機械操作は、翌日の眠気や注意力低下が残る間は厳禁です。服用時刻のズレ(早すぎる/遅すぎる)、重複処方(似た薬の併用)、腎・肝機能の変化も「効かない/効きすぎ」の原因になります。迷ったら、PMDAの添付文書と医療者の指示を確認しましょう(PMDA)。
生活面の調整(朝の光、起床時刻固定、カフェイン・アルコールのコントロール)と、薬の最適化は両輪です。厚生労働省の健康情報も参照しつつ(e-ヘルスネット)、主治医・薬剤師・リライフ訪問看護ステーションに気軽にご相談ください。人に話すことで、不安が和らぎ、解決の道筋が見えやすくなります。
行動療法の実践 認知行動療法で根本改善

睡眠薬で眠れないときは、睡眠の仕組み(体内時計と睡眠圧)にそって行動を組み替える「認知行動療法(CBT-I)」が再発予防まで見据えた第一選択の治療です。寝床での過ごし方・起床時刻・日中活動・考え方のクセを整えるだけで、入眠までの時間(入眠潜時)や中途覚醒、早朝覚醒が少しずつ短く・減っていき、薬量を減らしても保てる睡眠に近づきます。ここでは、自宅で始められ、医療機関でも採用される標準手順をわかりやすく説明します。
| 要素 | 目的 | 主要指標 | 効果の目安 |
|---|---|---|---|
| 刺激制御法 | 寝床=睡眠の連合を強める | 入眠潜時・夜間覚醒回数 | 1〜2週間で短縮・減少が始まる |
| 睡眠制限法 | 睡眠圧を高め睡眠効率を改善 | 睡眠効率(TST/TIB) | 2〜4週間で80〜90%に改善 |
| リラクゼーション | 自律神経の過覚醒を鎮静 | 主観的緊張・心拍・呼吸 | 夜間の覚醒時不安が軽減 |
| 認知再構成 | 睡眠への過度な不安の修正 | 睡眠関連思考の歪み | 寝つきの焦り・反芻の減少 |
下記の手順は、睡眠日誌(就床・起床時刻、入眠潜時、夜間覚醒、総睡眠時間TST、床上時間TIB)を毎日つけることで進捗を可視化し、無理のない範囲で調整していきます。
刺激制御法 寝床のルールを決める
刺激制御法は、寝床と「眠る」という行動の結びつきを強化する介入です。寝床にいる時間のうち、眠っていない時間を減らすことが核心で、脳に「ベッド=睡眠の場所」と学習させ直します。
| ルール | 具体例 | コツ・注意点 |
|---|---|---|
| 眠くなってから就床 | 「少しウトウトする感覚」が出てからベッドへ | 就寝予定時刻に合わせて無理に横にならない |
| 寝床では寝る以外をしない | スマホ・TV・読書・飲食・仕事はベッド以外の場所 | 充電器はベッドから離す・通知は就寝1時間前に切る |
| 20分で眠れなければ一度出る | 別室で静かな単調作業(軽いストレッチ等) | 眠気が戻ったらベッドへ戻る。時計は見ない |
| 夜間覚醒も同様に対応 | 目が冴えたら一度ベッドを離れる | 強い光・刺激の強いコンテンツは避ける |
| 毎朝同じ時刻に起床 | 平日も休日も±30分以内 | 朝の光・軽い運動で体内時計をリセット |
「頑張って早く寝る」ではなく、「眠気が整うまで待って寝床に入る」が成功の鍵です。数日〜1週間は寝床にいる時間が短く感じるかもしれませんが、次の「睡眠制限法」と組み合わせると改善が加速します。
睡眠制限法 睡眠効率を高める
睡眠制限法は、床上時間(TIB)を意図的に絞り、睡眠圧を高めることで中途覚醒を減らし、深く連続した睡眠を取り戻す方法です。目標は睡眠効率(TST/TIB)を80〜90%まで引き上げることです。
| ステップ | やり方 | 判定・調整 |
|---|---|---|
| 1. 基準の算出 | 直近1〜2週間の平均総睡眠時間(TST)を睡眠日誌から計算 | TSTが短すぎる場合でも下限は5〜6時間を目安に設定 |
| 2. 起床時刻の固定 | 毎日同じ時刻に起きる(休日も同じ) | 朝日光・水分・朝食で覚醒度を上げる |
| 3. 就床可能時刻の決定 | 就床可能時刻=固定起床時刻−設定TIB | 設定TIBはTSTと同等〜TST+30分程度から開始 |
| 4. 1週間ごとの調整 | 睡眠効率=TST/TIB×100%を週次で評価 | 85%以上:TIBを15〜30分延長/80%未満:TIBを15分短縮/80〜85%:据え置き |
| 5. 安全対策 | 強い眠気時は機械作業・自動車運転を避ける | 副作用(過度の眠気・気分悪化)が続く時は主治医へ相談 |
導入初期は眠気が強くなりますが、1〜2週間で連続した睡眠が得られやすくなり、夜間覚醒が減るのが一般的です。刺激制御法と合わせて実施すると、効果が安定します。
リラクゼーション 自律訓練法 漸進的筋弛緩法
不眠を支える「過覚醒(交感神経優位)」を鎮める目的で、就寝前〜夜間覚醒時に短時間でできる手技を取り入れます。「寝よう」と力むほど眠れなくなるため、練習で反射的に心身が緩む回路を作るのがポイントです。
| 手技 | 実施法(要約) | 所要時間 | 主な効果 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 腹式呼吸 | 4秒吸って6秒吐く。鼻吸い・口吐き。静かなカウントに意識を向ける | 5分 | 心拍低下・不安軽減 | めまい時は短時間から開始 |
| 漸進的筋弛緩法 | 手足→肩→顔の順に筋肉を5秒緊張→10秒脱力 | 10分 | 身体のこわばりを解く | 痛みがある部位は省略 |
| 自律訓練法 | 「手足が重い・温かい」などの公式をゆっくり反復 | 10分 | 自律神経のバランス調整 | めまい・解離感が強い場合は専門家の指導下で |
| マインドフルネス | 呼吸や体感に注意を向け、評価せずに今ここに留まる | 5〜10分 | 反芻思考の低減 | 眠れない自分を裁かない姿勢が重要 |
就寝前のルーティンとして、照明を落とし、スクリーンを閉じ、上記のどれかを続けます。できる・できないではなく、「やった分だけ身体が緩む」という経験を積み上げることが習熟の近道です。
認知再構成 睡眠に関する思い込みを修正する
不眠を長引かせるのは、眠りに対する厳しい思い込みや破局的な予測です。認知再構成は、証拠を集め直し、柔らかく現実的な考え方に置き換える練習です。「眠れない夜があっても、明日すべてが台無しになるわけではない」という視点を取り戻します。
| よくある自動思考 | 検討する事実・問い | バランスの取れた代替思考 |
|---|---|---|
| 「7時間寝ないと翌日は働けない」 | 過去、短睡眠でも対処できた日は?午前と午後で調子は違う? | 「満点睡眠でなくても、工夫すれば一日を乗り切れる」 |
| 「今夜眠れなければ一生治らない」 | 改善した週は?何が役立った?波の存在は? | 「波はあるが、続ければ上向く。今夜は手順に集中しよう」 |
| 「早く寝なきゃ」 | 早寝でかえって冴えた経験は?眠気のサインは? | 「眠くなってから寝床に入る方が結果的に早く眠れる」 |
| 「時計を見るほど焦る」 | 時刻確認で眠気は増える?減る? | 「時計は伏せる。体の感覚を手がかりにする」 |
実践は、①出来事(眠れない)②浮かんだ考え③感情と体感④証拠と別解⑤新しい考え、の順で紙に書き出すのが基本です。「睡眠は努力目標ではなく、条件が整えば自然に訪れる生理現象」という前提に立つと、行動療法全体がぐっとやりやすくなります。
以上の各手技は単独でも効果がありますが、睡眠日誌で進捗を見える化しながら、刺激制御法と睡眠制限法を軸に、リラクゼーションと認知再構成を重ねると相乗効果が期待できます。取り組みが不安な方は、かかりつけ医や睡眠医療の専門外来、カウンセラーに相談してください。精神科に特化したリライフ訪問看護ステーションでも、日々の記録と実践の伴走支援が可能です。
対処法10選 エビデンスに基づく実践ガイド

起床時刻を毎日同じにする
体内時計(概日リズム)は「起床時刻」で最も強く同調します。まずは休日も含め、毎日同じ時間に起きることを最優先にしましょう。入眠時刻は多少ばらついても構いませんが、起床時刻は固定するのがコツです。これにより夜の眠気(睡眠圧)が自然に高まり、寝つきの改善と中途覚醒の減少が期待できます。眠れない夜があっても起床時刻は動かさない、という一貫性が、睡眠薬の効果を引き出す土台になります。
起床後はカーテンを開け、深呼吸やストレッチなど軽い活動を。寝不足の朝ほど二度寝を避け、日中の活動量を確保することが夜の入眠を助けます。詳しい睡眠衛生の考え方は厚生労働省の情報(e-ヘルスネット)も参考になります。
朝に外で光を浴びる 夜は明かりを落とす
朝の自然光はメラトニン分泌を止め、体内時計を前進させます。起床後1時間以内に屋外での散歩やベランダでの光浴を15〜30分行うと効果的です。夜は照明を落とし、画面の輝度も抑えていきましょう。寝室は暖色系で、就床1〜2時間前から徐々に暗くするのが目安です。朝はしっかり光、夜はやさしく暗く—このメリハリが、薬に頼らない「眠りやすさ」を育てます。
| 時間帯 | 推奨する光の取り入れ方 | 狙い |
|---|---|---|
| 起床〜午前中 | 屋外の自然光で15〜30分の散歩や通勤 | 体内時計の同調、眠気のリセット |
| 夕方〜就床2時間前 | 室内照明を落とす、暖色系に切り替える | メラトニン分泌の準備 |
| 就床2時間以内 | 強い光や高輝度画面を避ける | 入眠を妨げる覚醒の抑制 |
光の調整は、睡眠薬の種類に関わらず併用できる安全な方法です。日本睡眠学会の啓発情報(日本睡眠学会)もあわせてご確認ください。
カフェインは午後から控える エナジードリンクに注意
カフェインの半減期は個人差が大きいものの一般に3〜7時間とされ、午後の摂取が就床時の覚醒に影響することがあります。コーヒーや緑茶、ウーロン茶、チョコレート、栄養ドリンク、エナジードリンクに含まれます。「眠れない夜が続く時期は、午後のカフェインゼロ」を合言葉にしてみましょう。
| 就床予定時刻 | カフェインを控え始める目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 22:00前後 | 14:00以降は避ける | 敏感な方は午前中のみ |
| 23:00〜24:00 | 15:00以降は避ける | エナジードリンクは終日控える |
| 交代勤務など不規則 | 就床8時間前から避ける | 仮眠前も避ける |
ノンカフェイン飲料(麦茶、ルイボスティー、白湯)に置き換えると実行しやすくなります。食品と睡眠の基本情報は厚生労働省の解説(e-ヘルスネット)が参考になります。
飲酒で眠気を作らない 断酒を試す
アルコールは入眠を早める一方で、睡眠を浅くし中途覚醒や早朝覚醒を増やします。睡眠薬との併用は記憶障害や転倒リスクを高めるため避けてください。「寝酒」は不眠を悪化させやすく、耐性がついて量が増える悪循環を招きます。まずは2週間の断酒トライアルを行い、夜間の目覚めや日中の眠気の変化を観察しましょう。
断酒が難しい場合は夕食の早い時間に少量へ、週2日の完全休肝日を設けるなど段階的に。医療相談の窓口や地域の保健所も頼れます。
就寝前のスマホとテレビをやめる
寝る前のスマートフォン、タブレット、PC、テレビは光刺激と情報刺激で脳を覚醒させ、入眠遅延と睡眠の断片化を招きます。就床60分前からは「デジタル・カットオフ」を合図に、通知オフと画面を見ない時間を徹底しましょう。
その時間は、読書(紙の本)、日記、軽いストレッチ、ぬるめの入浴、アロマや呼吸法などのリラックス習慣に置き換えます。どうしても画面が必要な場合は輝度を落とし、ブルーライト低減設定に加えて視聴時間を短く区切ります。
寝床は眠くなってから入る 寝付けなければ一度出る
寝床での「起きている時間」が長いほど、脳はベッドを覚醒と結びつけてしまいます。眠気が十分に高まってから就床し、目安として20〜30分で寝付けない時は一度寝室を出て、薄暗い別室で静かな活動(読書、呼吸法など)を行い、再び眠気が戻ってからベッドに戻りましょう。ベッド=眠る場所という連合を作り直すことが、睡眠薬の増量より効果的なことがあります。
時計を見て焦ると覚醒が高まるため、就床後は時計を見ない配置に。うとうとし始めたら、音や光をさらに減らして入眠を後押しします。
短時間の昼寝に留める 夕方以降は避ける
昼寝は眠気と作業効率の改善に有効ですが、長さと時間帯のコントロールが重要です。原則として「早い時間」「短時間(10〜20分)」「毎日同じリズム」に揃えると、夜の睡眠を邪魔しません。
| 目的 | 推奨の長さ | 推奨の時間帯 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 眠気の解消・効率アップ | 10〜20分 | 昼食後〜15時ごろ | アラーム設定、横になりすぎない |
| 夜勤前の仮眠 | 20〜30分 | 勤務前 | カフェイン併用は就床までの間隔に注意 |
夕方以降の居眠りは夜の睡眠圧を下げるため避けます。うとうと対策としては散歩や会話、冷水での洗顔、軽いストレッチが有効です。
服用タイミングを見直す 主治医と相談して最適化する
睡眠薬の効果は「適切な薬剤選択」「正しい用量」「適切な服用時刻」で大きく変わります。自己判断の増減や頓用の連用は避け、必ず主治医と相談して最適化しましょう。入眠困難が主体か、中途・早朝覚醒が主体かによっても薬の選択やタイミングは異なります。また、アルコールや一部の市販薬、サプリメントとの飲み合わせが影響することがあります。
「寝つけないからといって就床の何時間も前に飲む」「効かないと感じて倍量にする」といった使い方は逆効果になり得ます。服用状況と夜間の覚醒パターンを記録し、受診時に共有すると調整がスムーズです。薬物療法の位置づけは学会情報(日本睡眠学会)も参考になります。
いびきやむずむず脚の評価を受ける 必要なら治療を開始する
強いいびき、睡眠中の呼吸停止の指摘、日中の過度な眠気は睡眠時無呼吸症候群のサインです。脚の不快感や動かしたい衝動で眠れない場合はむずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)も疑います。これらの睡眠関連疾患は、睡眠薬の増量では解決しません。専門的な評価と治療が必要です。
無呼吸ではCPAPやマウスピース、体位療法など、むずむず脚では鉄欠乏の評価や生活調整、必要に応じた薬物療法が検討されます。受診先選びや検査の流れは国の医療情報(国立精神・神経医療研究センター)の案内も参考になります。
認知行動療法を受ける オンラインプログラムも活用する
不眠症に対する認知行動療法(CBT-I)は国際的にも第一選択の治療とされ、寝床のルールづくり(刺激制御)、過剰な時間の見直し(睡眠制限)、リラクゼーション、思い込みの修正(認知再構成)を体系的に行います。薬だけで改善しない不眠でも、CBT-Iで睡眠効率の改善と再発予防が期待できます。
通院が難しい場合はオンラインのプログラムや書籍、ワークシートも役立ちます。進め方に不安があるときは、医療機関やカウンセラーへの相談をご検討ください。地域での伴走支援として、当ステーション(リライフ訪問看護ステーション)でも生活リズムの整え方やセルフケアの実践をいっしょに確認できます。
CBT-Iの考え方や睡眠衛生の要点は公的な解説(e-ヘルスネット、日本睡眠学会)を併せて確認すると、取り組みの全体像がつかみやすくなります。
医療機関で受けられる検査と治療

医療機関では、原因の見極めと再発予防まで見据えた「検査」と「治療」を体系的に行います。 いびきや睡眠時無呼吸、むずむず脚、体内時計のずれ、薬の影響など、眠れない背景はひとつではありません。ここでは、受診後に実際に案内されることの多い評価と治療の流れを、実体験に近い視点でまとめました。必要に応じて、主治医だけでなく耳鼻咽喉科や歯科口腔外科、睡眠センターと連携しながら進めます。
睡眠日誌 アクチグラフで睡眠を見える化
最初の一歩は「見える化」です。 睡眠日誌は、起床・就床時刻、入眠までの時間、中途覚醒、昼寝、カフェイン・アルコールの摂取、服薬時刻などを2週間ほど記録し、睡眠パターンの乱れや誘因を整理します。臨床では入眠潜時、総睡眠時間、睡眠効率、概日リズム(曜日差や社会的時差)を評価し、薬や行動療法の計画に直結させます。必要に応じて、腕時計型のアクチグラフを装着し、活動量と光曝露のデータから客観的に睡眠覚醒リズムを推定します。
睡眠日誌とアクチグラフを併用すると、就寝・起床のずれ込み(遅寝遅起き)、眠りの浅さ(睡眠効率低下)、夜間頻尿やむずむず脚による分断などが立体的に把握できます。厚生労働省e-ヘルスネット「不眠症」にも、評価と治療の基本的な考え方が整理されています。
| ツール | 主にわかること | 適している症状・場面 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 睡眠日誌(紙・アプリ) | 就寝/起床、入眠潜時、中途覚醒、昼寝、服薬タイミング | 入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒、睡眠衛生の見直し、薬の最適化 | 自己記入のため主観バイアスあり。毎日継続記入がコツ。 |
| アクチグラフ | 活動量リズム、推定睡眠時間、光曝露パターン | 概日リズム睡眠覚醒障害の評価、生活リズムの客観把握 | 不眠の質(眠りの深さ)までは直接測定できない。 |
終夜睡眠ポリグラフ検査で睡眠時無呼吸症候群を評価
いびき・無呼吸や日中の強い眠気がある場合は、「終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)」で原因と重症度を正確に評価します。 PSGは医療機関に一泊し、脳波・眼球運動・筋電図・心電図・鼻口気流・胸腹運動・いびき音・体位・経皮的酸素飽和度(SpO2)などを同時記録します。無呼吸低呼吸指数(AHI)や酸素低下の程度、睡眠段階(レム/ノンレム)、周期性四肢運動などを総合判定し、治療選択(CPAP、口腔内装置、体位療法、減量、鼻疾患の治療など)につなげます。
外来のスクリーニングとして、携帯型の簡易検査(在宅で実施)を先行することもあります。簡易検査で睡眠時無呼吸症候群(SAS)が疑われた場合、確定診断や治療方針決定のためにPSGを追加します。検査の詳細や病態の基本は、厚生労働省e-ヘルスネット「睡眠時無呼吸症候群」がわかりやすい参考になります。
| 検査 | 測定項目 | 利点 | 留意点 |
|---|---|---|---|
| 終夜睡眠ポリグラフ(PSG) | 脳波・筋電・呼吸・心拍・体位・SpO2など多項目 | 診断精度が高い。睡眠段階や他疾患(周期性四肢運動など)も評価可能。 | 原則は入院一泊。予約待ちが生じることがある。 |
| 在宅簡易検査 | 呼吸気流、胸腹運動、いびき、SpO2、体位など | 自宅で実施でき、負担が少ない。スクリーニングに有用。 | 睡眠段階は測定しない。陰性でも症状が強い場合はPSGを検討。 |
日中の過度な眠気が続く場合には、PSGの翌日に「反復睡眠潜時検査(MSLT)」で平均睡眠潜時や入眠時レム睡眠を評価し、ナルコレプシー等の鑑別を行うこともあります。検査の流れや適応は医師が個別に判断します。
CPAP マウスピース 体位療法の選択肢
SASの治療は「あなたに合う方法を、確実に続けられる形で選ぶ」ことが大切です。 重症度(AHI)、肥満度(BMI)、症状、あお向けで悪化するかどうか(体位依存性)、鼻閉の有無、顎の形態や歯列、合併症(高血圧・糖尿病・心不全など)を踏まえ、医師・歯科医・耳鼻咽喉科が協力して方針を決めます。
| 治療 | 主な対象 | 期待される効果 | 副作用・注意点 | フォローアップ |
|---|---|---|---|---|
| CPAP(持続陽圧呼吸) | 中等症〜重症、日中の強い眠気や合併症を伴う場合 | AHIの有意な改善、いびき・夜間低酸素の軽減、日中眠気・血圧の改善 | 鼻づまり、口の乾燥、面体の違和感。機器の清潔保持が必要。 | 使用時間(アドヒアランス)を機器データで確認。定期受診でフィッティングと設定見直し。 |
| 口腔内装置(下顎前方移動式マウスピース) | 軽症〜中等症、CPAP不耐例、いびき主体 | 上気道の開大により無呼吸低呼吸の減少、いびき軽減 | 顎関節の不快感、咬合変化の可能性。歯の本数・歯周病に配慮。 | 歯科口腔外科で型取りと段階的調整。経過で効果確認(必要に応じ再検査)。 |
| 体位療法(側臥位保持、体位枕・デバイス) | 体位依存性SAS(仰臥位で悪化) | 仰臥位回避によりAHIが改善 | 就寝中の違和感。体位依存性でない場合は効果限定的。 | 継続状況の確認。必要に応じ他治療と併用。 |
あわせて、減量、禁煙、節酒、鼻疾患の治療(鼻中隔彎曲症・アレルギー性鼻炎などの加療)、舌根や口蓋の手術などを検討することもあります。治療の適応や保険診療の可否は、検査結果と症状をもとに主治医が丁寧に説明します。続ける自信が持てないときは、遠慮なく相談してください。必要であれば、生活調整や不安のケアを含めてカウンセラーやリライフ訪問看護ステーションと連携し、無理なく継続できる形を一緒に探します。
鉄欠乏の評価と補充 むずむず脚症候群への対応
就寝時の「脚のむずむず」や動かしたくなるつらさは、むずむず脚症候群(RLS)が背景にあることがあります。 夕方〜夜間に悪化し、動かすと軽くなる、安静で悪くなるといった特徴があり、周期性四肢運動(PLMS)による中途覚醒や浅眠につながります。RLSと鉄代謝の関連はよく知られており、血液検査(血清鉄、フェリチン、トランスフェリン飽和率など)で鉄欠乏を評価します。
鉄欠乏があれば、まずは原因評価(食事、消化管出血、婦人科疾患など)を行い、医師の管理下で鉄補充療法(経口鉄剤や静注鉄剤)を検討します。薬物療法が必要な場合には、症状の程度や既往に応じてドパミン作動薬(例:プラミペキソール、ロチゴチン貼付剤)などを用いる選択肢があります。併せて、カフェインやアルコールの過量、薬剤(鎮吐薬・一部の抗うつ薬など)による増悪にも注意します。基礎知識は厚生労働省e-ヘルスネット「むずむず脚症候群」が参考になります。
RLSの治療と不眠症状の改善は車の両輪です。睡眠日誌で就床時刻を整え、必要に応じて認知行動療法(CBT-I)を併用しながら、再発しにくい睡眠を一緒に育てていきましょう。症状が強いときや不安が続くときは、主治医にくわえてカウンセラーやリライフ訪問看護ステーションにも気軽にご相談ください。
受診の目安と専門医へのつながり

「睡眠薬を飲んでも眠れない」が続くときは、自己判断で薬を増減せず、明確な受診ラインを決めて早めに専門家につながることが回復の近道です。ここでは、受診の目安、相談先の選び方、日本睡眠学会専門医や睡眠センターへのつながり方、そして各診療科との連携のポイントをわかりやすく整理します。
三か月以上続く不眠 日中の眠気 集中力低下
慢性的な不眠は「寝つけない・途中で目が覚める・早く目が覚める」などの夜間症状に加え、日中の眠気や集中力低下、作業能率低下、イライラなどの生活機能の障害が伴う状態を指します。週に3回以上の不眠が3か月以上続き、日中の不調があるなら、計画的な受診を検討してください。また、以下のようなサインがある場合は、早めの受診や緊急対応が必要になることがあります。
| 受診・相談の目安 | 期間・頻度 | 想定される状況 | 受診の緊急度 |
|---|---|---|---|
| 不眠が週3回以上続き、日中の眠気や集中力低下がある | 3か月以上 | 慢性不眠症の可能性 | なるべく早めに計画受診 |
| 睡眠薬を飲んでも効果が乏しい/途中覚醒が増えた/効き目が落ちた | 数日〜数週間 | 耐性・相互作用・服用タイミングの不適合など | 早めに主治医へ相談 |
| 大きないびき、呼吸が止まると言われる、朝の頭痛や起床時のだるさ | 繰り返す | 睡眠時無呼吸症候群が疑われる | 早めに受診(運転は控える) |
| 日中の強い眠気で居眠りしそうになる・運転中に意識が落ちる感じ | いつでも | 過度の眠気(睡眠不足・睡眠時無呼吸など) | 直ちに運転中止し至急受診 |
| 脚のむずむず・眠ろうとすると足を動かしたくなる | 繰り返す | むずむず脚症候群の可能性 | 計画受診で評価 |
| 睡眠薬でふらつき・転倒・健忘や異常行動がある | 服薬後 | 薬の量・種類・相互作用の不適合 | 速やかに医療機関へ連絡 |
| 抑うつ気分・不安の悪化、仕事や家庭生活に著しい支障 | 持続 | うつ病・不安症などの併存 | 早めに心療内科・精神科へ |
| 妊娠・授乳中で睡眠薬の継続に不安がある | いつでも | 薬の見直し・非薬物療法の検討 | 主治医へ早めに相談 |
受診をスムーズにするために、以下を準備すると診断の精度が高まります。1〜2週間の睡眠日誌(就床・起床時刻、途中覚醒、昼寝、カフェイン・アルコール)、現在の薬・サプリ・市販薬リストとお薬手帳、いびきや呼吸の録音・同居人の観察情報、勤務や生活リズムの変化メモ。「いつから」「どのくらいの頻度で」「日中にどんな困りごとがあるか」を具体的に伝えることが、最適な治療選択につながります。
不眠の解説やセルフケアの全体像は、厚生労働省の情報も参考になります(厚生労働省 e-ヘルスネット)。ストレスや働く人の睡眠に関する支援は厚生労働省 こころの耳も役立ちます。
日本睡眠学会専門医や睡眠センターへの紹介
多くの方は、まず「かかりつけ医(内科)」や心療内科・精神科で睡眠の相談を行い、必要に応じて日本睡眠学会の専門医や睡眠センターへ紹介されます。いびき・呼吸停止の疑い、むずむず脚症候群の疑い、薬の調整が難しいケース、認知行動療法(CBT-I)の専門的実施が必要な場合は、専門施設での評価・治療が有用です。紹介状があると検査や治療の流れがスムーズになります。
専門医や認定施設の情報は日本睡眠学会の公式サイトから確認できます(日本睡眠学会)。終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)などの精密検査や、CPAP等の治療が必要と判断された場合、多くは保険診療で受けられることが一般的です(詳細は各医療機関にご確認ください)。
また、生活背景やストレス要因が強い場合には、医療と並行して相談支援の活用も効果的です。カウンセラーや訪問看護師への相談を検討している方は、精神科に特化したリライフ訪問看護ステーションにも遠慮なくご相談ください。医師の治療方針に沿って、睡眠習慣の調整や認知行動療法の実践支援、服薬管理、生活リズムづくりを丁寧に伴走します。
心療内科 精神科 耳鼻咽喉科 内科との連携
不眠の背景は一人ひとり異なるため、単一の診療科だけでなく、適切な連携が重要です。「どの科にかかればよいか迷うとき」は、まず内科・心療内科・精神科のいずれかで相談し、必要に応じて耳鼻咽喉科や専門施設に紹介してもらう流れが安全です。
心療内科・精神科では、不眠の評価に加え、うつ病・不安症・適応障害などの併存評価、薬物療法の見直し、認知行動療法(CBT-I)や睡眠衛生指導が受けられます。内科では、睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング、循環器・代謝疾患との関連評価、薬の相互作用や身体疾患の除外が行われます。耳鼻咽喉科では、鼻閉・扁桃肥大・上気道の形態評価など、いびきや無呼吸の解剖学的要因への対応が期待されます。
診療科横断の連携を円滑にするコツは、睡眠日誌やお薬手帳を一貫して提示すること、これまでの治療経過(効いたこと・合わなかったこと)を要約して持参すること、家族や職場の協力体制を共有することです。医療と支援(カウンセラー・訪問看護)が同じゴールを見て進むと、睡眠薬の最適化と再発予防が両立しやすくなります。
働く方やストレスが強い方は、公的な相談資源の活用も有益です。職場の産業保健スタッフや地域の相談窓口、厚生労働省の情報サイト(例:こころの耳)を併用しながら、無理のないペースで治療と生活調整を進めましょう。
まとめ
睡眠薬で眠れない時は、原因の可視化と体内時計・睡眠圧の立て直し、行動療法(刺激制御・睡眠制限)と薬の最適化、併存疾患の評価が結論です。起床固定と朝の光、カフェイン・飲酒・夜のスマホ・テレビの見直しが要。3か月以上の持続や日中障害は受診を。つらい時は主治医や日本睡眠学会専門医、リライフ訪問看護ステーションへご相談ください。
心の不調を感じたら、ひとりで抱え込まないでください。
大阪府柏原市・八尾市・東大阪市・藤井寺市・羽曳野市、
大阪市の一部(平野区・生野区・東住吉区など)対応
“精神科に特化”した訪問看護ステーション
「リライフ訪問看護ステーション」
平日・土曜・祝日 8:30〜17:30(日曜・年末年始休み)


