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睡眠薬を飲んでも眠れない原因は?よくある悩みと改善のヒント

睡眠薬を飲んでも眠れない原因は?よくある悩みと改善のヒント

心の不調を感じたら、ひとりで抱え込まないでください。

大阪府柏原市・八尾市・東大阪市・藤井寺市・羽曳野市、
大阪市の一部(平野区・生野区・東住吉区など)対応

“精神科に特化”した訪問看護ステーション
「リライフ訪問看護ステーション」

平日・土曜・祝日 8:30〜17:30(日曜・年末年始休み)

眠れなくてつらい夜、がんばって睡眠薬を飲んでも効かないと不安になりますよね。この記事では、効かない理由をやさしく整理し、まず確かめること、原因別の対処、薬の見直し、受診の目安、危険サイン、よくある疑問まで一気にわかります。寝つけない、夜中に目がさめる、朝早く起きてしまう、眠りが浅いときのコツもまとめました。結論は、原因は薬の合う合わないや飲み方のずれ、体・心・生活環境の重なりが多く、順にしぼれば改善の道が見えます。

目次

睡眠薬を飲んでも眠れないときの道しるべ 最初に確認すること

「薬を飲んだのに眠れない」と感じる夜は、だれにでも起こります。まずは深呼吸をして、今夜どう過ごすか、そして明日から何を整えるかの順番で考えましょう。一晩よく眠れなくても、体はすぐには壊れません。あわてず、できることから進めれば大丈夫です。

下の表は、今の状態に合わせて「今夜の目安」と「次の一歩」をまとめたものです。迷ったら、ここを道しるべにしてください。

今の状況今夜の目安次の一歩
今夜だけ眠れない/たまにある体のダメージは大きくありません安心ルールで静かに過ごす、朝はいつも通り起きる
3〜7日ほど続いている生活や環境の「ずれ」を戻すチャンス眠りの記録をつける、原因の手がかり集めを始める
仕事・家事・運転に支障が出ている無理は禁物早めに医療機関に相談する(内科や心療内科など)

眠れない日は誰にでもある 焦らないことが大切

眠りは毎日まったく同じではありません。気温、光、食べ物、心のゆれなど、小さなきっかけで変わります。「今夜はたまたまリズムが合わないだけ」と考え、無理に眠ろうとしないことが、かえって眠りを呼びやすくします。

今夜の安心ルール(できる範囲ででOK)

  • 時計を見ない(時間を気にするほど、頭がさえます)
  • 布団でつらいときは、一度起きて静かに過ごす(目安20〜30分、明かりは弱く)
  • スマホ・パソコン・テレビは閉じる(強い光と情報は目と脳を起こします)
  • 本(紙)をゆっくり読む、やさしい音楽を小さな音で流す、ゆっくり呼吸する
  • 深夜の激しい運動や熱すぎる入浴は避ける(体温が上がると眠りにくくなります)
  • アルコールやカフェインを足さない(短い助けに見えて、あとで眠りを浅くします)
  • 医師の指示がない限り、睡眠薬を自分の判断で追加しない・増やさない
  • 翌朝はいつも通りの時間に起きて、カーテンを開けて朝の光を浴びる

「横になって目を閉じているだけ」でも、体は休めています。眠ろうとがんばるより、「休むこと」に目的を変えると、気持ちが軽くなります。

一週間以上続くときは原因探しを始める

眠れない夜が1週間ほど続くなら、すこし立ち止まり、原因の手がかりを集めましょう。見るポイントは「薬」「からだ」「こころ」「生活と環境」の4つです。難しく考えず、思い当たることに◯をつける感覚で十分です。

  • 薬:飲む時間・量・飲み合わせは医師の指示どおりか。寝るタイミングと合っているか。
  • からだ:鼻づまり、いびき、夜間のトイレ、足のむずむず、痛み・かゆみはないか。
  • こころ:強い不安や緊張、イライラ、気分の落ちこみは続いていないか。
  • 生活と環境:夕方以降のカフェイン、寝る前のスマホや明るさ、部屋の温度・音はどうか。

明日からは、短いメモでかまわないので「眠りの記録(睡眠日誌)」をつけましょう。記録は、原因さがしの地図になり、受診のときにも大きな助けになります。

日付寝床に入った時刻起きた時刻寝つくまでの時間夜中に起きた回数昼寝(時間)服用した薬と時刻体調・気分メモ
例)6/123:306:3030分1回なし〇〇mgを23:00夕方コーヒー、少し不安

2週間ほど整えてもつらさが強い、日中の眠気で仕事や運転に支障が出る、持病やほかの薬との関係が心配、そんなときは早めに医療機関(内科、心療内科、睡眠の専門外来など)に相談しましょう。受診先で「いつから・どんなふうに眠れないか」「薬の飲み方」「生活リズム」を伝えられると、話がスムーズです。

一歩ずつで大丈夫です。今夜は安全に静かに過ごす。明日は小さな見直しをひとつ始める。それだけで、眠りのリズムは少しずつ戻っていきます。

原因をしぼるためのチェック

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「なぜ睡眠薬を飲んでも眠れないのか」を知るには、薬だけでなく、からだ・こころ・生活の全体を見ることが大切です。次の4つの切り口で、落ち着いて一つずつチェックしていきましょう。

薬の効き方と使い方のチェック

睡眠薬の「種類(効き方)」と「飲み方」が、自分の不眠のタイプ(寝つけない・夜中に起きる・朝早く目が覚める・眠りが浅い)に合っていないと、効きにくく感じます。まずは、いまの薬が悩みと合っているかを見直します。

作用時間が合っているか 超短時間型 短時間型 中間型

睡眠薬には、おおまかに「すぐ効いて短く切れるタイプ(超短時間型)」「ほどよく続くタイプ(短時間型)」「長めに続くタイプ(中間型)」があります。自分の悩みに合った長さを選ぶことがポイントです。

区分効き始めの早さ続く時間の目安合いやすい悩み注意点
超短時間型早い(寝る前に飲むと寝つきやすい)短い(数時間)入眠困難(寝つけない)夜中や明け方に切れて起きやすいことがある
短時間型比較的早い中くらい入眠困難+中途覚醒(夜中に起きる)人によっては翌朝の眠気が残ることがある
中間型ふつう長め(夜間を通して効きやすい)中途覚醒・早朝覚醒(朝早く目が覚める)翌朝のふらつき・注意力低下に注意

「寝つき」が主な悩みなら短く切れる薬、「夜に何度も起きる」「明け方に目がさえる」なら長めに続く薬が合いやすいと考えると、整理しやすくなります。合わないと感じたら、自己判断で増やさず、医師・薬剤師に相談しましょう。

服用タイミングが合っているか 就寝直前か食後か

多くの睡眠薬は「就寝直前」に飲むのが基本です。食事、とくに脂っこい食事のあとに飲むと、効き始めが遅くなる薬もあります。医師から「食後」や「就寝前」などの指示があるときは、その通りに守りましょう。

次の点をチェックします。

  • 寝る準備をして、ベッドに入る直前に飲んでいるか
  • 飲んでから長く起きてスマホやテレビを見続けていないか
  • 夜中に目が覚めたときに、自己判断で追加していないか(医師の指示がない限り避ける)
  • お酒と一緒に飲んでいないか(危険です)

「飲むタイミング」と「寝る準備」をそろえるだけで、効き方が安定することがよくあります。

耐性 依存 逆説反応のサインがないか

長く飲んでいると、まれに次のようなサインが出ることがあります。気づいたら、増量や自己調整はせず、すぐに受診しましょう。

  • 耐性(たいせい):前と同じ量なのに効きが弱いと感じる
  • 依存(いぞん):飲まないと強い不安が出る、やめようとすると眠れない日が続く
  • 逆説反応(ぎゃくせつはんのう):かえってそわそわする、イライラする、落ち着かない、記憶がとぎれる

当てはまるときは、薬の種類や量、減らし方を医師と一緒に計画し直すことが安心・安全です。

体の不調のチェック

からだの病気や不調があると、睡眠薬だけでは眠りが整いにくいことがあります。思い当たるサインを見落とさないようにしましょう。

いびき 無呼吸 口呼吸がある

大きないびき、息が止まるように見える、口で息をして朝のどがカラカラ、起きたときに頭が重い・眠気が強い。これらは「睡眠時無呼吸(むこきゅう)」のサインです。放っておくと日中の眠気や高血圧の悪化にもつながります。

心あたりがある人は、内科や睡眠専門外来で検査を受けると、原因に合った治療(CPAPやマウスピース、減量、鼻の治療など)が選べます。

足のむずむず こむら返り 痛み かゆみがある

夜、足が「むずむずしてじっとできない」「ピクッと動く」「こむら返り(足がつる)」があると、寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めたりします。鉄分の不足や一部の薬、運動不足、冷えなどが関係することもあります。

まずは、足を温める・軽くストレッチをする・カフェインを減らすなどを試し、改善しない場合は受診して原因を確認しましょう。

更年期 甲状腺の不調 自律神経の乱れがある

ほてり・発汗・動悸(どうき)などの更年期(こうねんき)症状、甲状腺(こうじょうせん)の病気、めまい・動悸・胃の不調などの自律神経(からだのバランスを整える神経)の乱れは、眠りを浅くします。

ホルモンや甲状腺の検査で原因が分かることがあります。からだの治療を先に整えると、睡眠薬の量を減らせることも少なくありません。

心の状態のチェック

悩みごとや強いストレスが続くと、脳が「休息モード」に入りにくくなります。こころのサインに気づくことが回復への近道です。

強い不安 緊張 イライラ 落ち込みがある

次のようなサインはありませんか。寝る前に不安が強くなる、仕事や学業のことを考え続けてしまう、イライラがおさまらない、気分が落ち込む。これらがあると、寝つきが悪く、夜中に目が覚めやすくなります。

呼吸法やストレッチ、相談先(家族・友人・医療機関・相談窓口)を早めに持つことで、薬だけに頼らずに楽になることが増えます。

朝方に気分が沈む 何をしても楽しくない

「朝がとてもつらい」「好きだったことが楽しくない」「食欲や体重が大きく変わった」。このようなときは、うつ状態のサインのことがあります。

無理をせず、心療内科・精神科・かかりつけ医に相談してください。早く相談するほど回復しやすく、睡眠も整いやすくなります。

生活習慣と環境のチェック

夜の過ごし方や寝室の環境は、睡眠薬の効き方にも大きく影響します。小さな見直しでも、眠りがぐっと良くなることがあります。

夕方以降のカフェイン エナジードリンク

コーヒー・紅茶・緑茶・コーラ・チョコレート、そしてエナジードリンクにはカフェインが入っています。夕方以降にとると、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりします。

まずは「午後はカフェインを控える」「エナジードリンクは夜は飲まない」を目安にしましょう。ノンカフェインやデカフェに置き換えると安心です。

就寝前のアルコールや喫煙

お酒は最初は寝つきをよく見せますが、夜中に目が覚めやすくなり、いびきや無呼吸も悪化します。たばこのニコチンは「目を覚ます方向」に働きます。

「寝酒」はやめる、寝る2時間前からは禁酒・禁煙を心がけるだけでも、眠りの深さが変わります。

スマホの見過ぎ 明るさ 音 室温

スマホやタブレットの光や刺激の強い動画は、脳を目覚めさせます。寝室が明るい・うるさい・暑い(または寒い)と、睡眠薬の助けがあっても眠りが浅くなります。

項目見直しポイントコツ
スマホ・画面寝る1時間前からオフに近づける充電場所を寝室の外にする・アラームは目覚まし時計に
明るさ寝室は暗めに保つ間接照明・遮光カーテン・アイマスクを活用
静かな環境を作る耳栓・ホワイトノイズ・家電のタイマー活用
室温少し涼しいくらいを目安にエアコンの微調整・寝具で温度と湿度を調える

「寝る前の1時間」は“減速タイム”。光と音を落として、からだと心を休息モードへ切り替えましょう。

不眠のタイプに合わせた対処

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同じ「眠れない」でも、原因や出方は人それぞれです。この章では、入眠(にゅうみん:寝つき)・中途覚醒(ちゅうと かくせい:夜中に起きる)・早朝覚醒(そうちょう かくせい:早く目が覚める)・熟眠困難(じゅくみん こんなん:眠りが浅い)の4つのタイプごとに、今日からできる対処をまとめます。自分のタイプを知り、そのタイプに合った小さな工夫を積み重ねることが、改善の近道です。

不眠タイプよくあるサイン主なきっかけまず試す対処受診のめやす
入眠困難(寝つけない)布団に入っても30分以上眠れない光・スマホ、緊張、考えごと就寝前の光を弱く、リラックス習慣、時計を見ない一週間以上続く、日中に支障が出る
中途覚醒(夜中に起きる)何度も目が覚める、再入眠に時間夜間頻尿、室温不快、いびき水分と塩分の見直し、室温調整、静かな再入眠行動大きないびき・呼吸が止まる・強い眠気
早朝覚醒(早く目覚める)予定より早く覚醒し二度寝できない体内時計の前倒し、気分の落ち込み朝日と散歩、一定の起床、昼寝の上限設定気分が続けて落ち込む、食欲低下
熟眠困難(眠りが浅い)寝た感じがしない、疲れが取れない痛み・かゆみ・胃腸の不快、アルコール症状の治療優先、寝室環境の最適化症状が強く日常生活に影響

入眠困難の対処 寝つけないとき

寝つけないときは、「光」と「緊張」をやさしく下げることが鍵です。焦って布団で粘るほど、脳は目覚めやすくなります。「眠れないまま布団に長くいる」より、「いったん布団を出て静かに過ごし、眠気が出たら戻る」方が、寝つきの学習に良い影響を与えます。

ブルーライトを避ける 暗い部屋で過ごす

就寝1~2時間前から、スマホ・タブレット・PCの使用をやめるか、どうしても必要なときはナイトモード(暖色・暗め)に設定します。部屋の照明は電球色(あたたかい色)に切り替え、明るさを落としましょう。テレビも音量と明るさを小さめにします。

寝室に入ったら、カーテンのすき間の光、まぶしいデジタル時計、通知音など、目や耳を刺激するものを片づけます。時刻を見て焦る気持ちを減らすため、時計の表示は見えない向きにするのがコツです。

お風呂は就寝の1~2時間前、ぬるめ(38~40℃)で10~20分が目安。体の中心の温度がゆっくり下がるタイミングで眠気が出やすくなります。熱すぎるお湯や長風呂は、目がさえて逆効果になることがあります。

呼吸法 音楽 ストレッチで緊張をほどく

呼吸は「ゆっくり・長く吐く」を意識します。例として、鼻から4秒吸い、2~3秒止め、口から6~8秒かけて吐く方法があります。無理のない範囲で、3~5分ほど行います。息を止めるのが苦しい方は、止めずに「4秒吸って、8秒吐く」でも大丈夫です。

静かな音楽(歌詞がないもの、一定のテンポ)を小さな音で流すと、考えごとが静まりやすくなります。首・肩・背中・ふくらはぎをゆっくり伸ばすストレッチや、軽いマッサージもおすすめです。カモミールなどの温かいノンカフェイン飲料も、安心感を助けます。

20~30分横になっても眠気が来ないときは、いったん起きて、薄暗い部屋で本を読む、日記を書く、呼吸法を続けるなど、静かな行動に切り替えます。スマホや明るい照明は使わず、眠気が戻ったら布団へ。

中途覚醒の対処 夜中に目が覚めるとき

夜中に起きる回数を減らすには、「トイレで起きやすい条件」と「眠りを切りやすい環境」を見直します。起きてしまっても、慌てず、静かに再び眠る行動を選びましょう。

夜間頻尿対策と室温調整

就寝2~3時間前からの水分は「のどが渇いた分だけ」にし、アルコールやカフェイン(コーヒー・緑茶・エナジードリンク)は控えます。夕食の塩分が多いと夜にむくみが戻って尿が増えやすいので、汁物は少なめに。寝る前には必ずトイレに行きます。

室温・湿度・寝具も見直します。寒すぎ・暑すぎは覚醒のもとです。足先が冷える方はレッグウォーマーや湯たんぽを上手に使いましょう。加湿しすぎは逆に寝苦しくなるので注意します。

項目おすすめの目安ポイント
室温おおむね18~22℃季節・体質で調整。寝る30分前に設定しておく
湿度40~60%加湿しすぎは寝苦しさやカビの原因に
水分就寝2~3時間前から控えめのどが渇いたらひと口ずつ。寝酒は控える

夜中に目が覚めたら、明るい照明はつけず、小さな常夜灯で行動します。時刻を見ない、スマホを見ない、深呼吸をする、体を温め直す、といった「静かな再入眠ルーティン」を用意しておくと、戻りやすくなります。

無呼吸やいびきの評価を受ける

大きないびき、寝ているときに呼吸が止まる、朝の頭痛、日中の強い眠気がある方は、「睡眠時無呼吸(すいみんじむこきゅう)」の可能性があります。放っておくと、血圧や心臓にも負担がかかることがあるため、耳鼻咽喉科(じびいんこうか)や睡眠専門外来に相談を。

横向き寝にする、枕の高さを見直す、鼻づまりを治す、体重をゆっくり減らすなど、家庭でできる工夫も役立ちます。ただし、強い症状がある場合は医療機関での検査・治療が優先です。

早朝覚醒の対処 早く目が覚めるとき

早朝に目覚める原因の多くは、「体内時計」が前にずれていることです。朝の光で時計を整え、日中の活動と昼寝の仕方を見直すと、少しずつ起床時刻が安定してきます。

朝の散歩と光で体内時計を整える

起きたらすぐカーテンを開け、朝の光を浴びます。できれば15~30分のゆっくり散歩を。天気が悪い日でも、室内の照明より外のほうが明るく、体内時計にしっかり届きます。

起床時刻は毎日そろえるのが基本です。休みの日も大きくずらさず、同じ時刻に起きて朝食をとりましょう。朝食は体内時計への合図になります。就寝時刻は「眠気が出てから」に合わせ、無理に早く布団に入らないことが大切です。

日中の活動量と昼寝の時間を見直す

日中は、歩く・階段を使う・家事をていねいに行うなど、からだを動かす機会を増やします。運動は朝~夕方のうちに。夜遅い激しい運動は目を覚ましやすいので控えます。

昼寝はしてもかまいませんが、時間とタイミングが大切です。目安は「午後の早い時間に20~30分」。長く寝ると夜の眠気が減り、早朝覚醒が続きやすくなります。どうしても眠いときは、椅子に座って目を閉じるだけでも回復します。

熟眠困難の対処 眠りが浅いとき

眠りが浅いと感じるときは、まず体の不快を減らすことが先です。痛み・かゆみ・胃腸のつらさなどがあると、深い眠りは妨げられます。無理に眠ろうとする前に、原因のケアを優先しましょう。

痛み かゆみ 胃腸症状の治療を優先する

腰・肩・関節の痛みがあるときは、寝具(枕・マットレス)の硬さや高さを見直し、横向きで膝の間にタオルをはさむなど、楽な姿勢を探します。皮ふのかゆみは、寝る前の保湿と爪を短く切ることで悪化を防げます。乾燥しやすい季節は、寝室の湿度も調整します。

胃もたれ・逆流(喉や胸がムカムカする)は、夕食を就寝の3時間前までにすませ、脂っこい食事や辛いもの、刺激の強い飲み物を控えます。枕を少し高くして上半身をゆるやかに起こすと、楽になることがあります。

アルコールは寝つきを良くするように感じますが、夜中の覚醒と浅い眠りの原因になります。お酒で眠ろうとせず、リラックスの方法を入れ替えましょう。日中は太陽の光を浴び、体を適度に動かし、夜は静かで涼しく、暗めの寝室を保つ。この基本が、深い眠りを支えます。

代表的な薬の見直しポイント

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ここでは、日本でよく使われる睡眠薬について、効き方の違いと見直しのコツをやさしく説明します。薬は「効き始める早さ」「効果が続く時間」「体質(たいしつ)や年齢」「他の薬との飲み合わせ」で感じ方が変わります。自己判断で量を増やしたり、他の人の薬を試したりはしないで、気になるときは医師・薬剤師にすぐ相談しましょう。より詳しい基礎知識は、一般向け解説であるMSDマニュアル家庭版「不眠症」や、公的なPMDA(医薬品の添付文書データベース)も参考になります。

薬のタイプ(代表例)主なねらい効き始めの目安効果が続く時間の目安向きやすい不眠タイプ見直しのサイン・注意点
非ベンゾ系(ゾルピデム、ゾピクロン、エスゾピクロン)すっと寝つく手助け早い(のむと寝つきやすい)短め〜中くらい入眠困難(ねつきにくい)夜中や早朝に目がさめるなら、時間や種類の見直しを検討。酒との併用は不可。
ベンゾ系(ブロチゾラム、トリアゾラム、フルニトラゼパム)不安や緊張をゆるめる+眠気比較的早い短め〜中くらい(薬によって差)入眠困難、中途覚醒朝の眠気・ふらつき、物忘れが続くなら量や種類を見直す。長期連用は慎重に。
メラトニン受容体作動薬(ラメルテオン)体内時計(たいないどけい)を整えるゆっくり(毎日つづけて効いてくる)毎日服用で安定入眠困難、時差・生活リズムのずれ即効性を求める場合は不向き。2週間ほど見て評価。特定の薬と飲み合わせ注意。
オレキシン受容体拮抗薬(スボレキサント、レンボレキサント)目を覚ますスイッチをおだやかに下げる就寝前にのんで効いてくる中くらい中途覚醒(夜中に起きる)、熟眠困難(浅い)翌朝の眠気やふらつきが出たら量や時間を見直す。運転は要注意。

ゾルピデム ゾピクロン エスゾピクロンの特徴

これらは「非ベンゾ系」とよばれるグループで、寝つきを助ける力が早く出やすく、切れは比較的早い薬です。布団(ふとん)に入る直前にのむと、うまくはまることが多いです。ゾルピデムは超短時間型、ゾピクロンとエスゾピクロンは短時間〜中間のイメージで、個人差があります。

見直しのポイントは次のとおりです。まず、「のんだのに布団に入らずスマホや作業を続ける」ことは避けること。効き始めと行動がずれると、ふらつきや記憶がとぶ(健忘)などの副作用(ふくさよう)が出やすくなります。また、夜中に目がさめても自己判断で追加(のみ直し)しないでください。思わぬ転倒(てんとう)や朝の眠気につながります。

「早くは眠れるが、夜中や早朝に起きてしまう」人は、種類や作用時間の見直し(やや長めの薬や、オレキシン薬の検討)が合う場合があります。お酒との併用は絶対に避けることも大切です。判断力の低下、記憶がぬける現象、寝ぼけ行動(むやみに食べる・歩くなど)が強まることがあります。

「毎日続けてのんでいるのに効きが弱くなった」と感じるときは、生活リズムのてこ入れ(朝の光、昼の活動、カフェインの時間調整)と、薬の量・時間・種類の再検討を。依存(いぞん)や耐性(たいせい)を避けるため、急にやめず、医師と計画的に減らします。詳細は公的資料(添付文書)も確認できます(PMDA)。

入眠向け 効き目は早いが切れやすい

このタイプは、「ベッドに入る直前にのむ」→「15〜30分ほどで寝つく」→「朝はスッと切れる」が理想の使い方です。合っていないサインは、朝の強い眠気、ふらつき、物忘れ、夜間の転倒などです。こうしたときは、用量を下げる、服用時間を早める、別タイプへ切り替えるなどを、医師と相談しましょう。

ブロチゾラム トリアゾラム フルニトラゼパムの特徴

これらは「ベンゾジアゼピン系」とよばれるグループで、不安や緊張をやわらげつつ、眠りに入りやすくする薬です。トリアゾラムは超短時間型で寝つき向け、ブロチゾラムは短時間型でバランス型、フルニトラゼパムはやや長めで、夜の途中で目がさめやすい人に使われることがあります。

見直しのポイントは、朝の眠気・ふらつき・注意力の低下が続くかどうかです。これらがある場合、量や時間、種類の調整で改善できることがあります。高齢(こうれい)の方は転倒や骨折(こっせつ)のリスクが上がるので、とくに慎重に。お酒や他の眠くなる薬(痛み止めの一部、かぜ薬など)との併用は避けることも重要です。

また、ベンゾ系は、長期間の毎日使用で「やめにくさ」や「効きにくさ」が出ることがあるため、可能なら使う期間を短くし、必要最小限にとどめます。やめるときは、反跳(はんちょう)不眠(いったん悪化する)を防ぐために、少しずつ段階的に減らすのが基本です。詳しい注意点は一般向け解説(MSDマニュアル家庭版)も参考になります。

不安を抑える 効きすぎや転倒に注意

ベンゾ系は、「効きすぎ」のサイン(強い眠気、ふらつき、ぼんやり、記憶がとぶ)に注意が必要です。とくに、夜中のトイレで立ち上がるときは転倒に気をつけ、足元を明るくし、手すりを使いましょう。もし朝まで強い眠気が残るときは、より短く切れる薬への変更、用量の調整、服用時間を前倒しなどを医師と相談してください。

ラメルテオンの特徴

ラメルテオンは、体のリズムを整える「メラトニン」の働きに近い作用を持つ薬です。寝る時間の合図を体に伝えることで、入眠(にゅうみん)を助けます即効性は弱く、毎日続けてのむことで少しずつ整ってくるのが特徴です。夜に明るい光をさけ、朝はしっかり日光を浴びると、より効果を感じやすくなります。

見直しのポイントは、2週間ほど続けても変化が乏しいかどうかです。その場合は、服用時間(就寝の約30分前)、生活リズム(起床固定、朝の光、昼寝の調整)をまず整え、それでもつらければ他の薬との併用や切り替えを検討します。なお、一部の薬(例:フルボキサミンなど)とは飲み合わせに注意が必要です。併用薬は必ず医師・薬剤師に伝えてください(添付文書はPMDAで確認できます)。

体内時計のずれを整える じわじわ効く

ラメルテオンは、「すぐに強い眠気で押し切る薬」ではなく、「時間をかけて眠るリズムを取りもどす薬」です。朝は同じ時間に起きて朝光を浴び、夜はスマホの明るい光をへらすなど、生活面の工夫とセットで使うと効果が高まりやすくなります。

スボレキサント レンボレキサントの特徴

これらは「オレキシン受容体拮抗薬(きっこうやく)」といい、脳の「起きていよう」というスイッチ(オレキシン)の働きをおだやかに下げて、眠りを続けやすくする薬です。夜中に何度も目がさめる、中途覚醒(ちゅうとかくせい)や、眠りが浅いタイプに合うことがあります。就寝の少し前にのみ、ふとんに入って使います。

見直しのポイントは、翌朝の眠気・ふらつき・集中しにくさが続くかどうかです。感じる場合は、用量を下げる、服用時間を早める、他剤へ切り替える、などで調整できます。ごくまれに、金縛(かなしば)りのような感覚や、 vivid(生々しい)な夢が出ることがあります。強く気になるときは中止して医師に相談してください。

また、他の薬との飲み合わせで効きすぎたり、逆に効きにくくなったりすることがあります。新しく薬をのむときは必ず「おくすり手帳」を見せましょう。朝の車の運転や高所作業は、体の慣れを見てからにしてください(詳しくはMSDマニュアル家庭版も参照)。

覚醒を抑える 中途覚醒の改善に向く

このタイプは、「寝つき」よりも「眠りを続ける」ことを助けるのが得意です。夜中の目覚めがつづく人、眠りが浅くてぐったりする人に向きます。朝のだるさが強いときは、服用時間や用量の微調整、他剤との使い分けで、あなたに合うバランスを探していきましょう。

薬に頼りすぎないための習慣づくり

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薬だけにたよらず、体のリズム(体内時計)を整えることで、眠りは少しずつ安定します。ここでは、今日から始められる「やさしいコツ」をまとめました。どれか一つで大丈夫。続けやすいものから、ゆっくり試していきましょう。

起床時間を固定して朝日を浴びる

眠りを整えるいちばんの近道は、「起きる時刻」をできるだけ毎日そろえることです。 休日も大きくずらさないようにすると、夜の眠気が自然にやってきます。朝はカーテンを開け、外の光を目に入れましょう。天気がくもりでも、屋内の電気より明るいことが多く、体内時計に良い合図になります。

朝の短い散歩や、ベランダで深呼吸をするだけでも十分です。動くのがつらい日は、窓際で過ごす、明かりを少し強めるなど、できる範囲でかまいません。

夜の就寝時刻は「眠気が来てから」にすると失敗が少ないです。無理に早く布団に入ると、寝つけない時間が長くなり、かえって不安になります。

朝にすることポイント
同じ時刻に起きる平日・休日の差は小さく。起きたら布団から出る合図を決める(カーテンを開ける、コップ1杯の水を飲む など)。
光を浴びるできるだけ早めに、窓際や屋外で明るさを感じる。くもりの日でもOK。
朝食をとる温かい汁物やごはん・パン、たんぱく質(卵・納豆・ヨーグルトなど)を少量でも。

「起床時刻」を先に固定し、夜は眠気が来てから寝る。 この順番がコツです。

カフェインは午後早めまでにする

カフェインは、眠気をおさえてくれる一方で、夜の寝つきや途中で目が覚める原因になります。コーヒーだけでなく、紅茶・緑茶・ウーロン茶・ココア・コーラ・エナジードリンク・一部の栄養ドリンク、チョコレートにも入っています。

目安として、カフェイン飲料は「午後は控えめ」にすると安心です。 夜の睡眠を優先したい日は、デカフェ(カフェインレス)や麦茶、ルイボスティーなどノンカフェインを選びましょう。

飲みものの例やめどきの目安置きかえアイデア
コーヒー、エスプレッソ、エナジードリンクできれば午前中までデカフェコーヒー、麦茶、白湯(さゆ)
紅茶、緑茶、ウーロン茶午後早めまでほうじ茶(カフェイン少なめ)、ルイボスティー
コーラ、ココア、チョコレート夕方前まで炭酸水、カカオ分ひかえめのおやつ

カフェインに敏感な人は、少量でも影響が出ます。自分の反応をメモして、合う「やめどき」を見つけていきましょう。

アルコールで寝つこうとしない

お酒は一時的に眠気を強くしますが、夜中に目が覚めやすくなり、いびきやトイレで起きる回数も増えます。睡眠薬とアルコールの飲み合わせは、ふらつき・転倒・呼吸が浅くなるなどの危険が高まるため避けましょう。

「寝るためのお酒」は手放す方向に。 まずは量を減らす、週に休肝日を作る、就寝の前ではなく夕食と一緒にゆっくり飲む、など小さな一歩からでOKです。

代わりに楽しめる飲みものを用意すると続きやすいです。ノンアルコール飲料、炭酸水、白湯、ノンカフェインのハーブティー(カモミール、ペパーミントなど)がおすすめです。

寝室を静か 涼しく 暗く保つ

眠りやすい部屋は、静か・涼しい・暗いが基本です。音が気になるときは耳栓(みみせん)や環境音(雨音・波の音など)で気をそらします。明るさが気になるときは、遮光カーテンやアイマスクを試してみましょう。照明は白っぽい光よりも、あたたかい色(電球色)を弱めにすると落ち着きます。

エアコンや寝具で「自分が心地よい温度」に整えることが大切です。乾燥しすぎると鼻やのどがつらくなり、目が覚めやすくなります。加湿しすぎも眠りをさまたげることがあるので、息が楽にできる範囲で調整してください。

寝室では、できればスマホを見ないようにします。どうしても必要な場合は、明るさを下げ、「おやすみモード」やブルーライトを弱める設定にしましょう。時計を何度も見ると不安が強まるので、見えない位置に置くと気が楽になります。

寝室は「眠るための場所」と決めるだけで、脳は安心して眠る準備に入ります。

認知行動療法に取り組む 思考と行動のクセを整える

認知行動療法(にんちこうどうりょうほう・CBT-I)は、薬にたよりすぎずに眠りを整える方法です。むずかしい内容ではありません。毎日の考え方や行動のクセを少しずつ変え、眠りやすい体と心を育てます。

行動のコツ(刺激制御) 寝床(ねどこ)は「眠る・休む専用」にします。眠気がまだ来ていないときは、寝室に入るのを少し待ちましょう。布団に入ってもしばらく眠れないときは、いったん起きて、暗めの場所で静かに過ごし、眠気が戻ってから布団へ。朝は決めた時刻に起き、昼間に光を浴びます。

時間の使い方のコツ(寝床にいる時間をととのえる) 長く寝床にいて「寝なきゃ」と力むほど、眠りは遠ざかります。最初は「今ねむれている分」に近い時間だけ布団に入るようにして、夜の眠気をためます。慣れてきたら、少しずつ寝床にいる時間をのばしていきます。がんばりすぎず、週ごとに見直すくらいで大丈夫です。

考え方のコツ(認知の見直し) 「今夜も全然眠れないかも…」と考えると、体は緊張します。そこで、「眠りは波がある。今日は休む日にしよう」「横になって目を閉じているだけでも体は回復する」と言いかえてみましょう。やさしい言葉に置きかえるだけで、心がゆるみます。

リラックスのコツ ゆっくりした呼吸、ストレッチ、ぬるめの入浴、静かな音楽が役立ちます。気持ちよいものを一つ選び、寝る前の小さな習慣にしましょう。

変化を見るために、簡単な「睡眠日誌」をつけるのもおすすめです。起床時刻・就寝時刻・昼寝の有無・カフェインやお酒の時間などをメモし、うまくいった日を増やしていきます。

コツは完ぺきを目指さないこと。少し良い日が増えれば、それで十分に前進です。

受診と相談の進め方

1757116109 - 睡眠薬を飲んでも眠れない原因は?よくある悩みと改善のヒント

「睡眠薬を飲んでも眠れない」と感じたら、まずは落ち着いて、相談先を決めましょう。受診は早すぎるということはありません。一人でがまんせず、安心して話せる医療機関に早めに相談することが、回復への近道です。

受診では、これまでの眠りの様子、薬の使い方、生活のリズムなどをいっしょに確認します。必要に応じて、薬の見直しや、生活のコツ、検査の提案を受けます。ここでは、相談先の選び方、受診時に持っていくもの、そして治療計画の立て方をわかりやすくまとめます。

内科 心療内科 睡眠専門外来に相談する

まずは近くの「内科(ないか)」で体の病気がかくれていないかを見てもらい、そのうえで「心療内科(しんりょうないか)」「精神科(せいしんか)」や「睡眠専門外来(すいみんせんもんがいらい)」につなげてもらう流れが安心です。受診の入口は身近な内科で大丈夫。必要なら専門医へ紹介してもらいましょう。

受診先のめやすは次のとおりです。迷ったら、事前に電話で「睡眠の相談がしたい」と伝えると、適切な予約方法を教えてもらえます。

診療科(しんりょうか)主な相談内容目安となる症状次のステップ
内科薬ののみ合わせ確認、生活習慣の確認、体の病気のチェック高血圧・糖尿病・甲状腺の不調がある、夜間頻尿、いびき必要に応じて心療内科や睡眠専門外来へ紹介
心療内科・精神科不安・こころの緊張、ストレス、うつの評価、薬の調整強い不安や落ち込み、朝の気分の落ちこみ、意欲低下薬の見直し、認知行動療法(考え方と行動のトレーニング)の提案
睡眠専門外来睡眠時無呼吸やむずむず脚などの専門的検査と治療大きないびき、無呼吸を疑う、足のむずむず、寝ても疲れがとれない検査(必要な場合のみ)や専用機器の提案、薬以外の治療

受診のまえに、今の薬の名前や量、のみ方を整理しておくと診断がスムーズです。専門的な検査が必要かどうかは、医師があなたの話と体の状態から判断します。検査や薬の変更は、あなたと医師の「相談と合意(ごうい)」で決めるものです。わからないことは遠慮せず質問してください。

睡眠日誌 副作用 併用薬を持参する

受診では「情報」が大切です。過去1〜2週間の「睡眠日誌(にっしん)」があると、とても役立ちます。用紙でなくても、メモ帳やスマホの記録でOKです。書く内容は、寝た時刻、眠るまでにかかった時間、夜中に起きた回数と時間、朝起きた時刻、昼寝の有無、カフェインやアルコール、運動、のんだ薬などです。

お薬手帳(おくすりてちょう)と、気になった副作用(ふくさよう)のメモ、他の病気でのんでいる薬(併用薬・へいようやく)の情報を、必ず持っていきましょう。飲み合わせで眠りに影響が出ることがあるからです。

区分具体例ポイント
身分・保険健康保険証、各種受給者証初診や紹介時に必要。忘れずに持参。
薬の情報お薬手帳、現在使っている市販薬・サプリの一覧薬の名前・量・のみ方・開始時期を確認できるように。
睡眠日誌1〜2週間ぶんの記録(紙・アプリどちらでも可)寝る時間、起きる時間、夜中の目覚め、昼寝、カフェイン/アルコール。
副作用のメモふらつき、物忘れ、悪夢、朝のだるさ などの記録起きた日時、程度、薬との関係を感じた点をメモ。
機器・資料スマホの睡眠ログ、スマートウォッチの記録、いびき録音参考資料として提示。見せ方は医療者と相談。
紹介・検査紹介状、これまでの検査結果(血液検査、甲状腺など)再検査の重複を避け、話が早く進みます。

準備がむずかしいときは、当日わかる範囲で大丈夫です。完璧(かんぺき)でなくてもOK。「伝えたいことリスト」を1つでも持っていけば十分な一歩です。

薬の変更 併用 減量の計画を一緒に立てる

受診では、薬の「変更(へんこう)」「併用(へいよう)」「減量(げんりょう)」の計画を、医師といっしょに作ります。自己判断で量を増減したり、中断したりしないことが安全の基本です。

とくに長くのんでいる薬を減らすときは、「反跳(はんちょう)不眠」といって、一時的に眠れなくなることがあります。ゆっくり少しずつ、スケジュールを決めて進めれば、つらさを小さくできます。計画の例を下に示します。

目的やり方(例)観察するポイント連絡の目安
のみ方の見直し就寝直前にのむ/夕食後にのむ など、タイミング調整寝つき時間、夜中の目覚め、朝の眠気3〜7日で悪化が続く、強いふらつきが出た
薬の変更作用時間が合う薬へ切り替え(入眠向け→中途覚醒向け など)目的の改善(寝つき/中途覚醒/早朝覚醒)、副作用合わないと感じる、日中の危険(転倒・運転不安)が出た
少しずつ減らす2〜4週間ごとに1段階ずつ減量、必要なら置き換え併用反跳不眠の有無、日中の体調、気分の落ちこみ2週間で改善が見えない、眠れず仕事・学業に支障
薬以外の併用睡眠の認知行動療法(CBT-I)や生活リズム調整を併用起床時間の固定、昼寝時間、カフェイン・アルコールの影響実行がむずかしい、方法が合わないと感じる

計画はあなたの生活に合わせて作ります。仕事や家事、育児、通学など、毎日の予定も遠慮なく伝えてください。「いつまでに、どのくらい、何を目標にするか」を言葉にして、次回の予約日もその場で決めておくと安心です。

途中で不安になったら、受診を待たずに医療機関へ連絡しましょう。運転や高所作業など危険を伴う仕事がある方は、とくに相談を急いでください。家族や職場・学校への伝え方も、医師や看護師といっしょに考えれば負担が軽くなります。

緊急で相談したいサイン

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次のようなサインは、睡眠薬(睡眠導入剤や抗不安薬など)の重い副作用や、別の命にかかわる病気の合図のことがあります。少しでも不安を感じたら、ためらわずに救急相談や119番(救急車)に連絡してください。運転は絶対にしないでください。

サイン(症状)まずする行動受診の目安
息苦しさ・強い胸の痛み・意識がもうろうとするすぐに119番。衣服をゆるめ、上半身を少し高くして安静。追加の薬やアルコールは飲まない。今すぐ救急。自分で来院せず、救急車を利用。
自分を傷つけたくなる考えが止まらない一人にならず、安全を確保。危険な物を手の届かない所へ。今すぐ119番。今すぐ救急。または警察110番で保護要請も可。
突然の混乱・記憶が飛ぶ・ふらつきが強い座る・横になるなどで転倒を防ぐ。運転や入浴を中止。そばに人がいれば付き添ってもらう。ろれつが回らない、片まひ、激しい頭痛、けいれんを伴うときは今すぐ119番。

息苦しさ 強い胸の痛み 意識がもうろうとする

息がしにくい、胸がしめつけられる、冷や汗が出る、意識(いしき)がもうろうとする、会話に反応しにくいなどは、救急のサインです。心臓や肺の病気、重いアレルギー(アナフィラキシー)、睡眠薬やアルコールの飲み合わせ(併用)・飲みすぎで呼吸が弱くなることなどが考えられます。

今すぐ119番に電話してください。首元やベルトをゆるめ、できれば上半身を少し起こして安静にします。意識がはっきりしない人に無理に水や食べ物を飲ませないでください。追加の睡眠薬を飲む・アルコールでごまかすことは大変危険です。

救急隊には、症状が出た時刻、飲んだ薬の名前と量、飲酒の有無、持病(心臓・肺・糖尿病など)を伝えてください。薬袋(おくすり手帳)や市販薬、サプリも一緒に示せると早く安全に対応できます。

自分を傷つけたくなる考えが止まらない

「いなくなりたい」「今すぐ死にたい」などの考えが止まらない、行動に移しそうでこわいときは、ただちに命を守る対応が必要です。強い落ち込み、不安、睡眠不足の積み重ね、アルコール、薬の副作用や飲み合わせが引き金になることがあります。

今すぐ119番に電話してください。周りに人がいれば、一人にしないで見守ってもらうよう頼みましょう。刃物・ひも・大量の薬・アルコールなどは手の届かない所に移します。自宅にいると不安が強まるときは、外の安全な場所で付き添いがある状態を保ちます。安全の確保が難しいときは、110番で保護を求めてもかまいません

考えが少し落ち着いても、その日のうちに医療につなぐことが大切です。受診時は、最近の眠れなさ、飲んでいる薬、アルコールの量、つらさが強くなる時間帯などを簡単にメモして渡すと、助けになります。

突然の混乱 記憶が飛ぶ ふらつきが強い

急に話がちぐはぐになる、場所や日時がわからない、さっきの出来事を全く覚えていない、ふらついてまっすぐ歩けない、転びそうになる、ろれつが回らないなどは、脳や薬の影響が強く出ているサインです。睡眠薬(とくにベンゾジアゼピン系やZ薬)や抗不安薬、アルコールとの併用で起こりやすく、高齢の方は転倒・骨折の危険が上がります。

次のいずれかに当てはまるときは、今すぐ119番です。片方の手足が動きにくい・しびれる、顔のゆがみ、激しい頭痛、けいれん、頭を強く打った、糖尿病で低血糖の心配がある。

そこまで強くない場合でも、運転・入浴・高い所での作業は中止し、必ず誰かが付き添うか、タクシーや救急車で医療機関へ。自己判断で追加の睡眠薬を飲むのはやめてください。受診時は、いつ・どの薬を・どれくらい飲んだか、飲酒の有無、最後に正常に覚えていること、転倒の有無を伝えましょう。

迷ったときは、お住まいの地域の救急相談窓口(例:#7119など)に連絡し、指示を受けてください。夜間や休日でも相談できます。

よくある質問

1757116168 - 睡眠薬を飲んでも眠れない原因は?よくある悩みと改善のヒント

睡眠薬が効かない日は二回目を飲んでも良いのか

結論からお伝えします。自己判断で同じ夜に二回目を飲むのはやめましょう。ほとんどの睡眠薬は「その夜に1回だけ」が基本です。二回目を飲むと、ふらつき、転倒、記憶がとぶ(健忘)、思わぬ行動、呼吸(こきゅう)が浅くなる、といった危険が高くなります。翌日の集中力低下や運転の事故にもつながります。

主なタイプごとの一般的な使い方と、二回目の可否(目安)は次のとおりです。個々の薬の正式な用法は、処方時の説明や添付文書(くすりの説明書)を必ず確認してください。

薬のタイプ(例)一般的な用法同じ夜の二回目
ベンゾジアゼピン系(ブロチゾラム、トリアゾラム、フルニトラゼパム など)就寝前に1回自己判断で不可。ふらつき・健忘が強く出やすい
非ベンゾジアゼピン系(ゾルピデム、ゾピクロン、エスゾピクロン など)就寝直前に1回自己判断で不可。夜中の異常行動や翌日の眠気の危険
メラトニン受容体作動薬(ラメルテオン)毎晩同じ時刻に1回不可。効き目は「じわじわ」なので追加しても意味がない
オレキシン受容体拮抗薬(スボレキサント、レンボレキサント)就寝前に1回不可。翌日の眠気やふらつきが強くなる

もし「飲んだのに眠れない」と感じたら、二回目を飲むかわりに、いったんベッドを出て、暗めの部屋で静かに過ごしましょう。スマホやパソコンの画面は見ないで、本を少し読む、温かい飲みものを少量とる、ゆっくり呼吸する、などがおすすめです。再び眠気がきたらベッドに戻ります。

なお、医師から「必要なときだけ飲んでよい(頓服<とんぷく>)」と具体的に指示された薬は、その指示のとおりに使ってください。それでも効かない日が多い、夜中の異常行動や記憶がとぶ感じがある、強い眠気が翌日まで残る、といった時は、薬の種類や量、飲むタイミングを見直すサインです。早めに受診して相談しましょう。

くすりの正式な説明は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の添付文書検索で確認できます(PMDA 医療用医薬品 添付文書検索)。不眠の基本情報は厚生労働省の解説も参考になります(e-ヘルスネット「不眠症」)。

昼寝はしても良いのか 何分までが目安か

昼寝(ひるね)は、やり方を守れば助けになります。目安は10〜20分、遅くとも午後3時まで。長すぎる昼寝や夕方の昼寝は、夜の寝つきを悪くします。深く寝すぎないよう、アラームをセットしましょう。

状況おすすめの長さ時間帯ねらい
日中の眠気が強い・仕事や勉強を効率よくしたい10〜20分昼食後〜午後3時まで頭をすっきりさせ、夕方までの集中力を保つ
夜の不眠が続いている基本はしない(どうしても眠い日は5〜10分だけ)午後3時より前夜の寝つきを守ることを優先
高齢の方・体力を回復したい20〜30分午後3時まで無理のない休息で転倒などの事故予防にもつなげる

コツは、横になりすぎない(ソファで軽く目を閉じる程度)、起きたら日光を浴びて体を動かす、夕方以降のカフェインを控える、の3つです。それでも夜の眠りが悪化する場合は、昼寝をやめて、朝の光と日中の活動量をふやすことを優先しましょう。

漢方薬やサプリは併用できるのか

漢方薬やサプリメントの中には、睡眠薬の効き方に影響するものがあります。自己判断での併用は避け、必ず「飲んでいるものをすべて」医師・薬剤師に伝えましょう。市販薬(かぜ薬、鼻炎薬、酔い止め)にも、強い眠気が出る成分(抗ヒスタミンなど)が入っていることがあり、重なって危険です。

製品・成分の例起きやすいこと注意点
漢方(柴胡加竜骨牡蛎湯、抑肝散、加味逍遙散 など)眠気が強くなることがある。甘草(かんぞう)を多くとると、むくみ・血圧上昇の心配処方薬と一緒に使う前に必ず相談。甘草を含むものは重複に注意
市販の睡眠改善薬・かぜ薬(ジフェンヒドラミンなど)翌朝まで眠気・だるさ。認知(にんち)機能の低下睡眠薬と重ねて飲まない。ラベルの「眠気の注意」を確認
サプリ:セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ)薬の効き目が弱くなる・効きすぎるなど不安定併用しない。飲んでいる場合は必ず申告
サプリ:メラトニン国内では医薬品扱い。個人輸入品は成分量のばらつきや相互作用の心配自己判断で開始・併用しない。医師に相談
グレープフルーツ(ジュースを含む)一部の睡眠薬の効きすぎ服用中は避けるのが安全

くすりの相互作用(いっしょに飲んだ時の影響)は複雑です。あたらしく飲み始める前に、必ず専門家に確認してください。添付文書の確認にはPMDAのサイトが便利です(PMDA 医療用医薬品 添付文書検索)。

いつ薬をやめられるのか 反跳不眠への備え

「夜の眠りが安定してきた」「日中の生活が保てている」と感じ、医師が「そろそろ減らせます」と判断したときが、やめるタイミングです。ゴールは「薬に頼りきらない眠り」です。あわてず、計画的に進めましょう。

やめる準備ができたサインまだ準備が必要なサイン
同じ時刻に起きる習慣がついた/朝の光を浴びている起床時刻が毎日バラバラ/昼夜逆転ぎみ
寝つき・夜中の目覚め・早起きのどれもが大きくは乱れていない強い不安・気分の落ち込みが続き、眠りも不安定
カフェインやアルコールのコントロールができている夕方以降にカフェインやお酒をとりがち

減らし方は「いきなり中止」ではなく、少しずつ段階的にが基本です。医師と相談して、量をゆっくり減らす、短い作用時間の薬に切り替える、回数を調整する、などの方法を組み合わせます。この時期に「認知行動療法(寝床は眠る場所にする、入眠前のリラックス、スマホを見ない など)」をいっしょに行うと、やめやすくなります(解説:e-ヘルスネット「不眠症」)。

やめ始めの数日〜1週間ほど、反跳不眠(はんちょうふみん:やめた直後に一時的に眠れなくなる)が出ることがあります。ふたたび不安になりやすい時期ですが、多くは一時的です。あせらず、次を意識しましょう。

具体策の例は、(1) 起床時刻は固定する(遅く起きない)、(2) 昼寝は控える(どうしても眠い日は10分以内)、(3) 就寝前の1時間は照明を落とし、静かに過ごす、(4) 寝つけないときはベッドをいったん出て、眠くなってから戻る、の4つです。つらさが強い、動悸(どうき)や震え、強い不安が続くなどの体調変化があれば、無理をせずに早めに受診してください。

全体を通してのポイントは、「独りでがんばりすぎない」こと。減量や中止の計画は、必ず医師と二人三脚で。日本睡眠学会の一般向け情報も参考になります(日本睡眠学会 一般の皆さまへ)。

まとめ

睡眠薬で眠れないときは、薬の種類や飲み方、体と心の調子、生活のくせを順番に見直すことが大切です。合う対処は必ず見つかります。朝の光、同じ起きる時間、カフェインやお酒の見直しも力になります。不安が続くときは、内科や心療内科、睡眠専門外来に気軽に相談しましょう。睡眠日誌を持って行くと話がスムーズです。あせらず、一歩ずつ整えていきましょう。つらい夜が続いても、あなたのせいではありません。薬の変更や組み合わせも医師と話し合いましょう。

心の不調を感じたら、ひとりで抱え込まないでください。

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