統合失調症を放っておくとどうなる?看護師が教える3つの深刻な症状と予防法

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「薬を飲むのをやめたら、また声が聞こえてきた」「入院してから何年もたつけど、また同じ状態になってきた」。精神科訪問看護師として在宅に入っていると、再発を繰り返す方と長く関わることがあります。統合失調症は、適切な治療を続けることで安定した生活を営める病気です。しかし治療をやめてしまうと、深刻な状況に陥ることがあります。
「薬の副作用がつらい」「もう治ったと思った」「通院が面倒になった」——治療を中断する理由はさまざまです。放っておいた結果どうなるのかを知っておくことが、治療を続けるための動機になると思い、現場の視点からお伝えします。
目次
統合失調症とはどんな病気か
統合失調症は、脳の神経伝達物質のバランスが乱れることで起きる精神疾患です。100人に1人程度の割合で発症し、思春期から30代にかけて発症することが多いです。
主な症状には「陽性症状」と「陰性症状」があります。
- 陽性症状:幻聴(声が聞こえる)、妄想(誰かに監視されているなどの思い込み)、まとまりのない思考・言動
- 陰性症状:感情の平板化、意欲の低下、会話量の減少、引きこもり
抗精神病薬を中心とした薬物療法で症状をコントロールしながら、リハビリテーションや生活支援と組み合わせることで、在宅生活を送ることが十分に可能です。
治療を放っておくと起きること
① 陽性症状が再燃・悪化する
薬を急にやめると、2〜3週間以内に再発することがほとんどです。幻聴や妄想が戻ってくると、「自分は病気ではない」「薬は必要ない」という認識(病識の欠如)が強くなり、さらに治療につながりにくくなるという悪循環が起きます。再発を繰り返すごとに、症状が改善するまでの時間が長くなり、回復の程度が下がっていくことがわかっています。
② 社会機能が低下する
治療が途切れると、日常生活の維持が難しくなります。食事・清潔の維持ができなくなる、金銭管理ができなくなる、対人関係が崩れる——こういった状態が続くと、就労や地域での生活がどんどん難しくなります。私が訪問で関わった方の中にも、一時的に治療を中断したことで部屋の中が物で溢れ、食事もろくに取れない状態になっていた方がいました。
③ 認知機能に影響が出る
再発を繰り返すことで、記憶力・集中力・判断力といった認知機能が低下しやすくなることが研究で示されています。認知機能の低下は、仕事や日常生活の質に直接影響します。一度低下した認知機能は、治療を再開しても完全には回復しないこともあります。早期介入・再発予防が、長期的な生活の質を守ることにつながります。
治療を続けることの難しさと対処
「続ければいい」とわかっていても、続けることが難しいのが現実です。薬の副作用がつらくて飲みたくなくなる、「もう治った」という感覚が出てきて必要性を感じなくなる、通院そのものが負担に感じる——こういった壁があります。
副作用がつらいとき
眠気、体重増加、倦怠感、手のふるえなど、抗精神病薬の副作用は人によって大きく異なります。「副作用がつらくて薬をやめたい」と思ったときは、まず主治医に伝えてください。薬の種類の変更、用量の調整、副作用対策の薬を追加するなど、対処方法があります。自己判断でやめるのは再発につながります。
「もう治った」と感じるとき
薬が効いて症状が落ち着いてくると、「もう治った」「薬は要らない」と感じやすくなります。しかしこれは、薬が効いている証拠であって、病気がなくなったわけではありません。薬をやめると症状が戻ります。「薬を飲んでいるから安定している」という視点を、本人だけでなく家族も共有しておくことが大切です。
通院が継続できないとき
精神科の通院は、体調が悪いときに「病院に行く気力がない」という状態になりやすいです。定期的に通院を続けるために、家族の付き添い、訪問看護師による通院同行、デイケアの活用などを組み合わせることが有効です。
家族が「様子がおかしい」と気づいたとき
統合失調症の再発サインを、家族が先に気づくことがよくあります。以下のような変化が見られたら、早めに主治医や訪問看護師に連絡してください。
- 急に独り言や笑い声が増えた
- 夜眠れていない様子で昼夜が逆転している
- 「追いかけられている」「盗聴されている」などと言い始めた
- 薬を飲まなくなった、飲んだふりをしている
- 通院をドタキャンするようになった
早期に対処すれば、再入院を避けられることも多いです。「様子がおかしいかもしれない」という直感を大切にしてください。
精神科訪問看護でできること
精神科訪問看護は、統合失調症を抱えながら在宅で生活する方への支援に長く関わってきたサービスです。統合失調症の方への訪問看護では、次のようなサポートを行っています。
- 服薬管理の確認と声かけ
- 生活リズム・食事・清潔の維持サポート
- 症状の変化を早期に察知し、主治医に情報共有
- 再発の前兆サインを一緒に把握する
- 本人の話をゆっくり聞き、地域での生活を支える
- 家族への情報提供と関わり方のサポート
定期的な訪問があることで、「誰かが見ていてくれる」という安心感が、治療の継続につながります。障害年金の申請などの制度活用についても、情報整理をお手伝いできます。
リライフへのご相談
統合失調症を抱えるご本人やご家族で、在宅での生活に不安を感じている方は、リライフ訪問看護ステーションにご相談ください。大阪府柏原市・八尾市・大阪市周辺を対応エリアとしています。お電話またはLINEからお問い合わせいただけます。
統合失調症の治療と地域生活——現場から見えること
精神科訪問看護師として10年以上、統合失調症を抱えながら地域で暮らす方々に関わってきました。安定して生活を送れている方に共通しているのは、服薬を継続していること、そして定期的につながれる人がいることです。
「完全に症状がなくなる」ことを目標にするのではなく、「症状があっても、自分らしく暮らせる」状態をつくることが、回復の本質だと私は考えています。そのためには治療の継続が不可欠です。
再発を繰り返すことのリスク
統合失調症は再発のたびに、脳への負荷が積み重なると言われています。「1回くらい薬をやめても大丈夫」は危険な考えです。再発後の回復が初回より時間がかかり、社会機能が下がるというデータがあります。また、再入院を繰り返すことで社会とのつながりが切れやすくなります。
服薬継続のための工夫
服薬を続けるための現実的な工夫として、以下が有効です。
- 薬を目につく場所に置く(食卓、洗面台など)
- 服薬記録アプリを使う
- 一週間分の薬ケースを使う
- 訪問看護師に服薬確認をしてもらう
飲み忘れや自己中断が続いているなら、主治医に相談してデポ注射(長時間作用型の注射製剤)を検討することも一つの選択肢です。月1〜4回の注射で、毎日の服薬管理が不要になります。
家族・支援者が「おかしい」と気づいたとき
統合失調症の再発サインを、家族が先に気づくことがよくあります。以下のような変化が見られたら、早めに主治医や訪問看護師に連絡してください。
- 急に独り言や笑い声が増えた
- 夜眠れていない様子で昼夜が逆転している
- 「追いかけられている」「盗聴されている」などと言い始めた
- 薬を飲まなくなった、飲んだふりをしている
- 通院をドタキャンするようになった
- 部屋に閉じこもり、食事もとらなくなった
早期に対処すれば、再入院を避けられることも多いです。「様子がおかしいかもしれない」という直感を大切にしてください。家族が気づいて動くことが、本人の回復を守ることにつながります。
地域で暮らし続けるための社会資源
統合失調症の方が地域で安定して生活するために、以下の社会資源が活用できます。
精神科デイケア
精神科デイケアは、精神科医療機関に付設されたリハビリテーションプログラムです。生活リズムの形成、対人スキルのトレーニング、就労準備などを行います。精神科デイケアの内容については別記事で詳しく紹介しています。
就労移行支援・就労継続支援
症状が安定している段階では、就労移行支援を使って就労準備をすることができます。統合失調症でも、適切なサポートがあれば就労できるケースがあります。
相談支援専門員
障害者総合支援法に基づく相談支援専門員(ケアマネージャーに相当)を活用することで、必要なサービスを組み合わせてもらえます。精神科訪問看護・デイケア・就労支援などを組み合わせたサポート体制を整えることができます。
精神科訪問看護が担う役割
精神科訪問看護は、統合失調症の在宅支援において特に重要な役割を担います。週1〜3回の定期訪問の中で、次のようなサポートを行います。
- 服薬の確認と管理(残薬確認・飲み忘れへの対応)
- 生活リズム・食事・清潔の維持サポート
- 症状の変化を早期に察知し、主治医に情報共有
- 再発の前兆サイン(不眠・焦燥・独語の増加など)を一緒に把握する
- 本人の気持ちをゆっくり聞く
- 家族への情報提供と関わり方のアドバイス
「薬を飲んでいるか確認してくれる人がいる」「困ったときに相談できる人がいる」という安心感が、再発予防に大きく貢献します。訪問看護師がそばにいることで、わずかな変化を早期にキャッチできます。
統合失調症の方への精神科訪問看護の詳細については、別記事で解説しています。障害年金の申請など制度面の情報整理もお手伝いします。
Q&A:統合失調症に関するよくある疑問
Q:統合失調症は遺伝しますか?
A:遺伝的な要因が一部関与していることは研究で示されていますが、「必ず遺伝する」ものではありません。一卵性双生児でも、両方が発症する確率は50%程度とされており、遺伝以外の環境的要因も大きく影響します。
Q:一生薬を飲み続けなければいけませんか?
A:多くの場合は長期的な服薬が必要ですが、経過によって主治医が減薬・中止を検討することもあります。自己判断での中止は再発リスクが非常に高いため、必ず主治医と相談してください。
Q:統合失調症でも働けますか?
A:症状が安定していれば、就労できるケースは多くあります。一般就労、障害者雇用、就労継続支援事業所など、状態に合わせた選択肢があります。主治医・訪問看護師・就労支援機関と一緒に検討することをおすすめします。
リライフへのご相談
統合失調症を抱えるご本人やご家族で、在宅での生活に不安を感じている方は、リライフ訪問看護ステーションにご相談ください。大阪府柏原市・八尾市・大阪市周辺を対応エリアとしています。「どうすればいいかわからない」という段階からでも、一緒に考えます。お電話またはLINEからお問い合わせいただけます。
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